第3話 私、人外になっちゃったみたいです。

《登場人物》

吉野英玲奈よしのえれな 主人公(高校2年生 17歳)

五十嵐静香いがらししずか【種族】人類(第4魔王、今は第4使徒という事になっている。)




「人に触っちゃだめよ!」

最後に言われた事、気になるなぁ・・・。


自宅まで送ってもらい、玄関のドアを開けようとした時、ドアノブが外れた。

ドアノブが外れた・・・。

外れた・・・。


これって非常にまずい状況じゃないの?

私、バカじゃないからね。最後に言われた言葉の意味を理解した私。

私バカじゃないから!

外れたドアノブをそうっと下に置いた。なるべく自然に落ちたように。

無理がある?ないよね。ないない、大丈夫。


何とかドアを開け、「ただいま」と言って、そのまま自分の部屋に向かう。

自分の部屋のドアノブを見つめ、意を決してドアノブをゆっくり握る。

ドアノブを回す。力を入れずにゆっくりゆっくり。

力を入れちぁだめ!

「カチャリ」

開いたぁー。

ドアの開け閉めを無事にやり通し、ベッドにゆっくり座った。

自分の部屋に入るのに5分はかかってしまった。


少し落ち着きましょう。落ち着くのよ。心静かに。

マンションに行く時は普通の車だったのに、送ってもらった時はタクシーだった。

そうか、そういう事だったのね。

私、バカじゃないからね。

状況を理解した私。

バカじゃないから!

でも、これで生活できるのかしら、私。


スマホが鳴った。

すぐに取ろうとしたが、まずい!

落ち着いて、落ち着いて、ゆっくり。

画面を見ると「五十嵐静香」の表示。

えっ、番号教えてないし、まして「五十嵐静香」の登録なんか・・・。


「もしもし?」

「スマホは壊さなかったようね。もう何か壊した?」

「あのー、私の番号・・・、登録まで・・・」

「いまさら何言ってるのよ!私を誰だと思ってるの!」

そうですよね、こわぁーい第4使徒さまでした。

「誰が、こわぁーいなの?」

うわっ、電話でも心読まれてるの?

「で、何か壊した?」

「玄関のドアノブを・・・」

「まっ、そうなるよね、他には?」

「今のところはそれだけです。」

「なかなか優秀ね、見込んだだけの事はあるわ」

「力の調節はすぐに慣れるから、明日までに何とかしなさい!」

えぇー、明日までー、無理難題を押し付けられる私。

「力の調節ができるようになるまでは絶対に人に触っちゃだめ!魔法も絶対禁止!」

「明日、朝9時に迎えに行くから、家の前に出てきなさい!」

「私の車で行くから、車のドア壊さないでね。これは命令よ!じゃっ!」

命令された・・・。

言いたい事だけ言って、勝手に電話きった・・・。


「おーい!」

お父さんの声だ。帰ってきた・・・。

「誰だぁ!ドア壊したヤツはー?」

叫んでる。無視、無視、ここは知らぬ存ぜぬよ。

「えれなぁー、あなた知らないー?」

お母さんの声。

ドアをそうっと開け、

「知らなーい、私が帰った時は壊れてなかったよぉー。」

よしよし、私が壊したなんて誰も思わないよね。

よしよし、問題ない!

すぐに業者を呼べとか何とか言ってる、こんな時間に来るのかなぁー?


無事にごはんを食べ、風呂にも入れた。

箸を持てるかなぁーと心配していたけど、難なくクリアー。

二階の自分の部屋で、いろんな物を触ったり、持ったりしていると、

「ピンポーン」

玄関のチャイムが鳴った、多分、業者よね、これ。

「こんばんはぁー」

すぐにお母さんが出たみたい。お父さんも一緒だ。


「ありゃー、これはひどいですね。一体どうしたんですか?これは。」と、業者さん。

「それが全然わからないんだ。泥棒なんだろうか?」と、お父さん。

「泥棒はこんな壊し方しませんよ。それに人間の力じゃこれは無理ですよ。ねじ切れてますよ。完全に。」

「何か機械のようなものでやらないと、こうはなりません。心当たりないのですか?」

よし。これで私に疑惑は絶対向かない。完全犯罪よ!


「全然ない。それに家内も娘も音なんか全然聞いてないと言ってるし、不思議なんだ。」

「被害届出しますか?いろいろお手伝いは出来ると思いますが。」

まずい!いろいろ調べられるのは絶対にまずい。


しばらく沈黙があったが、

「いや、やめとこう。ゴタゴタするのはかなわん。」

「それよりセキュリティを強化してくれ。多少、金がかかっても構わん!」

よしよし。これで問題解決ね。お父さん、太っ腹!


「それではもう時間が遅いですから、今日は応急処置だけ施します。」

「本格的な工事は明日の日曜、午後1時頃お伺いいたします。それでよろしいですか?」

「明日なら私も居るし、よろしくお願いする。」と、お父さん

「じゃ、応急処置、さっさとやっちゃいますね。」


あれっ?私、耳も良くなった?

でも他の雑音とか聞こえなかったし、

集中すれば、聞きたい事を聞き取れるっていう事でいいのかなぁ。

確かに今のは耳ダンボで聞いていたし。

そうね、絶対間違いないよね。


明日は大変そうだし、ステータスだけ確認して今日はもう寝よう。


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ステータス

【名前】 吉野英玲奈よしのえれな

【種族】 人類

【年齢】 17歳

【性別】 女性

【職業】 魔法使い

【称号】 無し


【レベル】 0(獲得済みの経験値 0 / 次のレベルに必要な経験値 100)

【HP】 現在のHP 105 / 最大HP 105

【MP】 現在のMP 150 / 最大MP 150

【攻撃力】 52

【防御力】 52

【敏捷性】 71

【知力】 67

【運】 58

【魔力】 255(未開発魔力 0)

【魔力防御力】 455(未開発魔力防御力 0)


【魔法】

  生活魔法

【スキル】

  鑑定

  回復

【ユニークスキル】

  アイテムボックス

  転移

【加護】

  第4使徒の加護

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耳が良くなるなんてどこにも無いよね。力は多分、攻撃力かなぁ?

攻撃力は2から52まで上がったから、

えっ、26倍!26倍なの?

私の握力、いくつだっけ?

20kgとしても26倍は520kg。

えっ、520kg。


もう私、人間じゃないんじゃないの??




《あとがき》

もう人間じゃないですよね。

でも、異世界に行くんだから、準備は大切!


《登場人物》

吉野英玲奈よしのえれな 主人公(高校2年生 17歳)

五十嵐静香いがらししずか【種族】人類(第4魔王、今は第4使徒という事になっている。)

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