第10話 魔王討伐を目指しての進軍

 森に何がいるかわからない、と恐怖を感じた男性陣は、ななちゃんに消してもらおうと、長女の気落ちの回復を待っていた。

「ななちゃんは、かわいいんだよ。童顔なのにスタイリッシュにハマってるちょっと痛いところがたまらないの。」

「わかるよお姉ちゃん。「少女漫画的にリアル」になりきれないとことか、すごく好き。」

「私はちょっと違うけど。貴方は、ななちゃんより、みんなの南ちゃんが好きなのよ!」

「そことガチでやりあうからいいんじゃない。弱みは見せなかったよ、ななちゃんは。」

 男どもにはさっぱりわからない内容ではあったが、

「ああいうやつか」

「ビビビッて光線出せばいいんじゃないのか?ステッキ振って。」 

「いや、まずは外見から入らねばならん。」

 男どもにまで、ななちゃんが浸透してきた。

「全員、ななちゃんに変身しよう。」

 と、天に拳を突き上げる祖父であったが、

「いい加減にして! ななちゃん、そんなんじゃないから。」

「わかるよ。お姉ちゃんのななちゃんは本物だもの。」

 妹がフォローに回る。

「だからさ、その前に、何か食べよう。」

「そういわれても、ここの食べ物は口にしたくないわねぇ。」

「毎日BBQだったから、ダイエットしよう!」

 次女の言う言葉はみんなの胸に突き刺さった。

「じゃあ、俺たちの魔王討伐の行軍を始めようか!」

 姉以外は、常にななちゃんの改造制服に身を固めている。

「やめてーーーっ。」

 と、走り去った姉は、先頭を無防備にも変身なしで駆けだした。

 待っていたぞとばかりにいたのは、大地の神に異能を授かった地下地上の二人の鬼だ。長女は足元をすくわれる。

「ヤバイ、捕まった。」

 5人のななちゃんは、長女が地面に飲み込まれていくのをただ見守るしかなかった。

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