第8話 魔王となんで名乗ってしまったのだろう

「やるじゃねぇか。日曜の朝の魔女っ娘キャラかと思わせておいての不意打ちか?魔王だって、人間だってのはわかってるんだよなぁ? 今、テレビや週刊誌にいっぱい載ってるし、一応、役者だとは言ってあるし。あんなのとは限らないが、6対1ってちょっとずるくない? そりゃ、森に魔物放ったよ。雰囲気は大事だからさぁ。最近のっていうか、昔から女ってのは加減を知らねぇもんだしなぁ。俺から折れたら、許してくれるかな? 戦うことになっちゃうの? 雰囲気だけでも変えてみる? ねえ、ルイーザちゃん。魔王役代わりに誰かいないかな? いない。そもそも、うけつけてない。はい、わかりました。テレビでも、見てよっ。」

 テレビがついているのは、オプションで買ったものだ。しばらく籠るつもりであったため、食料の備蓄もある。ワープゲートもある。

「俺がここにいてもいなくても、やつらはここにやってくるのか?」

 片肘をついて、すっかり横になってテレビを見る体制になっている。

「なにも、戦わなくてもいいよな。戦いたいやつだけ集まって戦ってくれれば、それでいいじゃん。」

「そうじゃないんだよ。それを見るのが楽しい人がいるんだよ。」

「な、なんだ、お前は。」

「お前はまだ強くなれる。永遠の命が欲しくないか?」

「若けりゃな。年を取って楽しいことねぇ。思えばあったんだけどなぁ。なんでかな、こんなバカなことを始めたのは……。」 

 

こちら、ルイーザ邸。

「ふーん、あの俳優もそろそろ成仏できそうね。融合炉の準備をしなきゃ。」


「俺の大事な命を奪ったやつがいる!」

 西村は、思い出し怒りをした。

「そうだ、それだ! 俺が力を貸す。奴らと戦うのだ!」

「じゃあ、体をいただくとしよう。最後の大仕事だ。残酷に、残虐に、だろ。」

「そうか!」

「だが、永遠の命なぞいらん。こんな世界のどこが素晴らしいんだ!」

「やつらへの憎悪が、あいつらをあんな土地に縛り付け、地獄のロードを歩かせ、一人、また、一人とやっちまうのさ。どうだ、ぞくぞくするだろ。」

「それ、復讐になってないだろ。でも、いいぜ。魔王でもなんでもやってやろうじゃないか!」

 こうして、俳優西村は、魔王として、謎の鬼の姿をした四天王を統括する身になったのである。


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