第6話 HAPPY BIRTHDAY

 鏡のようなきれいな湖のある、新緑がいつも芽吹いているかのような素敵な森に囲まれた6人と黒猫。あいかわらず、BBQな毎日であったのだが、今日は、俺の誕生会だ。

「もう、コテージも作ったし、ハンモックも吊ったし、天気はいいし、ホント居心地いいね、パパ」

「ああ、そうだなぁ。もう、そんなに月日が経ったか。」

 母が焼いてきてくれた誕生ケーキは飾り付け、ボリュームといい、特別の日って、いつも驚かされる。俺が、そんな発想豊かなところを密かに尊敬していることは、母は知らない。

「もう、半年かぁ。」

「きれいなところって、ほんとに、、そこにいるだけで飽きないよね。」

「ヤバイ。」

「ホント、マジ、ヤバイ!」

 テーブルセットも、全部自分好みにしていいなんて、は、母の感想。

「今日は、孫の誕生日ですよ、お父さん。」

「そうか、じゃあ、そろそろ、イベントが開始されるようだな。」

「えっ?」

「魔王、復活の日じゃ!」

「え? なんですって?」

「いや、冗談だけど。ただ、みんな、やる気はどこ行ってしまったの? じいさんだって、DQ好きなんだよ。」

「でも、こんなにきれいな景色に囲まれちゃいますと。」

「魔王軍が、もしかしたら、力をつけてくるかもしれないじゃないか。」

「え? 魔王軍が来るの?」

「お前は喜ぶんじゃない、息子。」

「だって、だって、マジなんだろ!」

「装備はどうなってる?」

「私たちは見せな~い。」

「どうせコスプレだろ。」

「違います。なりきりちゃんより、すごいんだから。ビームとか出てマジすごいんだから。」

「どこにそんなところが。」

「ちょっと、誕生日なんだから、荒い声出さない。さあ、集まってパーティーを始めますよ!」

 母の鶴の一声で、全員席に着いた。

「それじゃあ、誕生日でも祝うかい?」

 すると、湖の上に何かが降臨してきた。

「どうも~、ルイーザちゃんで~す。覚えてますか~。」

「あっ、この度は息子の誕生日においでになるなんて、ホントに良くしてもらって。みんな感謝なさい!」

「いや、それはありがたいんですけど。魔王と戦うのはいつかな~、なんて。」

「準備はできてますよ。」

「さぼってたわけじゃないもんね~」

「あの、俳優の西村さんから、苦情がありまして。」

「苦情?」

「『正面に突っ込んできたやつをよこせ!俺が魔王になる。』って。」

「いいなぁ、あたしさらわれちゃおっかな。」

「お姉ちゃん、ハンドル切った張本人でしょう。謝ろうよ。」

「まあ、まて、みんな。もめごとは、よくないから。」

「ほかにも、人生が狂って大変なひとがいたんですけど。魔王倒して、みんな成仏しましたよ。」

「そっか~、そういうものなんだ~。」

「うちは、立地が良すぎたから、こんな感じだと思ってた~。」

「モンスターが出るとか、魔王を倒すとか、もっと具体性はないんですか、あなたたち!!」

「じゃあ、いっちょやるか!」

「だから、しゃべってばかりいないで、行動しなさーーーーーい!!!!」

 女神はそういうと、「HAPPY BIRTHDAY」と言って、世界を暗黒界に変えてしまうのであった。

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