第5話 訃報

「いやー、ホントいい場所ですねここは。」

「そうじゃな。」

 鏡のような湖に、緑の多い平地。

「家でも建ててみようか?」

 などと、談笑しながら、BBQをしている6人の中、祖父の黒猫が足元にやってきた。

「ん? どうした? にゃあにゃあ、言われてもなぁ。」

「お父さん、お義母さんは、どうされたんです?」

「なにか、暗黒魔法でも編み出しているのかもしれん。そっとしておこう。」

「なら、いいんですけど。」

「なになに、おばあちゃんって、暗黒魔法がつかえるの?」

「ああ。町ひとつ、怪談と小道具だけで全滅させたこともあるという強者だ。あれを暗黒と言わず、何が暗黒か!元祖かも知れんぞ!」が

「にゃあ。」

「ん? 黒猫、どうした。」

「ばあさんの武勇伝ならまだあるぞ!よし、今夜は語り明かそう。」

 黒猫は、7つの魂を持つというが、実は、異次元や未知の領域など、あらゆるところに、魂と記憶をつなげることができるのだ。猫だけに、誰にも教えられないのだが。


「あたしゃ、一番クリアじゃよ、じいさん。」

 闇に一人ほくそ笑む、祖母であった。

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