第4話 猫だけに

 塵芥に帰した祖母は、闇の世界に転送された。

「わしひとり、先に来てしまった。」

「あら、せっかくのスピード離脱記録更新なのにおばあさんとはもったいないわね。」

「なにものじゃ?」

「ルイーザに決まっているじゃない。」

「あの世界はお前が作ったものか?」

「ルイーザの部屋はね。」

「そうか。」

「そうがっかりされると、わたしも沈んでしまいそう。」

「まあ、女神だけに、悪さをするようなところもないようだし、一安心じゃわ。」

「みゃあ。」

「あら、猫ちゃん。いらっしゃい。おばあさんがもらってきた猫なんだって。かわいいこね。魂の一つを、送り込んできたみたい。……私は邪魔みたいだから、ここで消えるわね。黒猫ちゃんと思い出を共有してね。融合スイッチスタート!じゃあね!」

 そういうと、ルイーザは、消えた。

「そうかい、黒猫。イワシはもう好きじゃなかったんだね。」

 BBQと黒猫の到来に、関係性があるのかないのか? せっかくの再来が、黒猫と祖母との融合によって、しんみりしたものに変わってしまった。しかし、融合はまだまだ続く。祖母は、100歳を超えているのだ。

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