最期は…

みんな一緒

「お、来た来た。軽子ちゃんこっちこっち」

「なんで。なんであんたがここにいんの」

「いや、そろそろかなと思って」

「なによ、そろそろって」

「飲み会だったんでしょ。これでも彼氏だから、軽子ちゃんのことはだいたい分かる」

「え、きもちわるっ」

「あ、せんぱいぃぃ」

「うわ、なんで」

「二次会です」

「あれ、軽子は二次会キャンセルじゃなかったっけ？」

「あっ、軽子さんの恋人のかたですか」

「はい。いつも軽子ちゃんがお世話になっております」

「いえいえ。こちらこそ軽子さんにはいつも助かっております」

「課長やめてください。名刺しまって」

「せんぱいぃぃ。なんですかぁぁ。かれしさんいけめんじゃないですかぁぁぁ。いけめんはきいてないぞぉぁ」

「あなたはもう呑んじゃだめ」

「大将、とりあえず一杯くれ」

「うわ」

「ちょっと待って。軽子じゃないの。どうしたのこんなところで」

「もしや、軽子さんのお父様とお母様」

「あら、彼氏さんと、こちらは、ええと、どなた？」

「お初にお目にかかります。仕事先の課長です」

「これはどうも」

「軽子さんにはいつも助けられております」

「課長やめてくださいほんと。名刺は」

「いやはや。娘がお世話になっとります」

「おとうさんもやめて。名刺交換しないで」

「おとうさまとおかあさまはどうしてここへ？」

「そりゃあもう、子作り前に景気よく一杯ひっかけようと思って」

「せんぱいのぱぱとまま、らぶらぶじゃないですかぁぁ」

「いつまでも娘が煮え切らんので、いっそのこと孫じゃなくて二人目をと思いまして」

「あっ、彼氏さんは気にしなくていいのよ。どうせ軽子のせいだから」

「いえ。軽子ちゃんの健康が第一ですので」

「もうっ。なんでみんな来るのよっ」

「おい我が娘、どこへ行く」

「トイレ。もういやっ」