最期は…

春嵐

ひとり

飲み会の帰りだった。


夜空。


ヒールの、歩く音。


ひとり。


普通の人生。普通の生き方。そしていま、ここにいる。


こうやって、人生は続いていく。しぬまで、ひたすら、ヒールで歩いて爪先にダメージを与える生活。


ろくでなしの彼氏と、どうでもいいような両親。毒にも薬にもならない上司と同僚。うるさい後輩。


こうやって、人生は続く。


「まけるな」


負けるな、私。


夜空を眺めても、涙すら出てこない。絶望もしないし希望も抱かない、ただひたすら平均値のど真ん中のような毎日。


ふう。


帰りたく、ないな。


「もう一軒、呑みに行くか」

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