第3話 作戦会議

 視界いっぱいに広がる豪華な装飾、壁、床。アニメで言うところの王宮を思わせる空間。さらに、王の間らしき場所には王座のような黄金の椅子に座っていて、周りの雰囲気やその人からは貴族や王族特有の貫禄というようなものがにじみ出ていた。

 そして今、俺とリカとヒューリ一行はなぜか、王らしき人物の前に立たされていた。


「どうしてこうなった!」


 これを説明するには、およそ1時間前にさかのぼることになる………



 ―1時間前―



 今、俺たち6人は東門の近くにいる。


「うわ…今日は特に混んでるね………」


「そうね。出来れば早く入りたいわ」


 そう言ったのはパシーとリリエラだった。そして、パシーに続いてヒューリも同じようなことを言った。


「……そうだね。カートのこともあるから、早めに宿に着きたいんだけど」


 確かにそうだよな。うん。

 ていうか、リリエラってあんな感じだっけ?もっと気が弱かったような……まあ、良いか。

 それより、カートのことを考えなくちゃな。ただ、俺の予想だとあと35分くらいで起きそうだから、そこまで気を使わなくて良いと思うけど……

 まあ、ヒューリたちは知るよしもないだろうな。なぜなら、俺がこうして知れているのは相手のステータスを見ることができるからだ。そしてそれを見るには、すごく長い時間と経験と【魔眼まがんクラスの【神眼しんがん】が必要だ。

【神眼】は、神でないと手に入れることの出来ない目だ。そして、女神族でも使えるのは最高神リカとその配下のマリカラという三大天使の一柱だけだ。というように、【神眼】はそれほどまでに凄いものなのだ。それを、どうして人間の俺が使えるかは今は言えない。しかし、そのお礼に俺のステータスを紹介しよう。


〘ステータス〙

 名前 鈴峰海斗

 年齢 16歳

 職業 なし

 種族 人間

 適正属性 すべて(※元々です)

 能力 【剣の支配者ソードマスター】、【魔眼】、他16万8370個

 称号 〖武術を支配するもの〗、〖史上最強の能力者〗、他1267個

 Lv 908334/100 (称号〖神の祝福を受けたもの〗の効果で上限なし) 

 HP 9890080(+834009) ⇨ ∞(能力発動後)

 MP 609270/609270(+200360) ⇨ ∞(能力発動後)

 STR 5981006

 ATK 7083300(+1102294) ⇨ ∞(能力発動後)

 VIT 9890080/5032050

 DEF 5032050(+2036660) ⇨ ∞(能力発動後)

 INT 900087 (上限なし)

 RES 2062301(+502367) ⇨ ∞(能力発動後)

 DEX 98/100 ⇨ 100/100(能力発動後)

 AGI 8052260(+1023659) ⇨ ∞(能力発動後)

 LUK 9999999(MAX)

 割り振りPT 5016223


 …………………………………………………

 ………………………

 ………え?

 嘘だろ!?今まであまり興味なかったけど、改めてみると俺、すごいぶっ壊れてる………

 いや、これチートってレベルさえ超えてね⁉

 ていうか、この知識を手に入れたことで、俺のこのヤバさが余計に分かってしまう。しかも、普通に俺、能力なしで考えてやっと、リカと同レベルなんだが………

 それに割り振りPT、めっちゃ溜まってんじゃん!早速や――


 突然、誰かに体を揺さぶられた。


「海斗、大丈夫かい?」


 そうヒューリに言われて、俺は周りを見た。

 パシーとリリエラは心配そうにこっちを見ている。リカは……何か呆れられてる⁉

 冷静に状況を確認していると、あることを思い出した。

 ってそうだ!今はカートのことを考えるんだった!


「ああ大丈夫だ」


 どうやら、10分くらい目を開けていて、声をかけても無反応だったらしい。

 はぁ、これは重症だな。今度、リカにちゃんと見てもらおう。

 まあ、それは今度として、どうしようかな?検問の方は10分経ったっていうのに3人しか進んでないしな。

 う~~~ん

 とりあえず、【思念テレパシー】を使ってリカに相談してみるか。

 そして、あっさり繋がった。使


〖ん?〗


〖何?海斗〗


〖まさか、お前――〗

〖――俺が黙っていた時に【思念】を使ったのか?〗


〖……うん。あまりにも無反応だったから、つい…〗


〖じゃあ、呆れた表情を造ったのは……〗


〖いや、だって本当に気づいてないとは思わなかったんだもん。もう、


〖マジだったのかよ………〗

〖まあ、それはもういい。ただ、もう勝手に俺に使うなよ!〗


〖……分かった〗


〖じゃあ、早速本題に入ろうか〗


〖東門に簡単に入る方法でしょ〗


〖さすがだな。まあ、一応もう考えてはある〗


〖ふ~ん。じゃあ、私はそれにするかしないかを決めてほしいと〗


〖そうだ。あと、アドバイスもあれば言ってほしい〗


〖分かった。で、どうするの?〗


〖貴族に成り済ます。門を見て気づいたとは思うが、馬車に乗っている人たちは身分証を見せるだけで済んでいる。あの人たちをよく見ると、みんな貴族だ。しかも、スルーされている馬車もある。きっと、身分が高ければ高いほど、検問は緩くなるということだ。少し手荒いが、そうするしかない。このままだと、4日ほど経ってしまう〗


〖良いと思うよ。となると、馬車と服を【物質創造】。馬は【召喚しょうかん】。あとは、検問の人に使う【精神支配スピリットコントロール】かな?〗


〖完璧と言いたいところだが、一つ違う。【精神支配】はソルティア王国全土にだ。負担は大きいが、その方が良い。まあ、俺の場合そんなに負担はないけどな。〗


〖相変わらずヤバいね。ていうか、それを通り越してキモイね〗


〖うるせぇ。それより、公爵で魔法と武術の天才っていう設定にしようと思うんだが〗


〖うん。良いんじゃない?〗


〖そうか。じゃあ、担当は――って言うまでもないか〗


〖そうだよ。私にはその能力はキツイ〗


〖だな。じゃあ、この作戦で行こうか〗


〖ゴーゴー!〗



【精神支配】と【召喚】の能力の詳細を説明すると、【精神支配】は相手の精神に干渉する能力。催眠術の強化版みたいなものだ。規模に制限はない。ただ、大きくなるにつれて、自分の精神の負担が大きくなる。【召喚】はイメージした生き物や道具などを呼び出す能力。


〘RPGゲーム用語の説明〙

 ※Lv、HP、MP、割り振りPTは省きます。

 STR=装備などがついていない時点の攻撃力。

 ATK=攻撃力。(最終)

 VIT=生命力。HP、DEFの最大値。

 INT=知力。

 RES=魔法に対しての防御力。

 DEX=命中率。

 AGI=素早さ。

 LUK=運。

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