第1章 頂点者への道 ~人間編~

第1話 異世界人との出会い

 ここは、地球とは違う世界。俺はここを、頭だけでは知っていた。そして、この場所は―――――ソルティア王国 フリーデル草原だ。

 この草原は、超級クラスの魔物モンスター、この世界で言うとマスタークラスの魔物が出る場所だ。

 どうしてここを選んだのかというのには二つ理由がある。一つは、人気ひとけが少ないということ。もう一つは、魔物が出るからだ。

 俺の世界には存在しなかった魔物を見てみたいし、今の俺の実力を見てみたい。この世界での最高クラスの魔物、楽しみだ。


「よし!さそっく魔物探しへと行こうか、リカ」


 俺がこう言うと、リカは


「うん、分かった!楽しみだよ!」


 と、笑顔で言った。

 まるで、子供だな。

 リカがこんなに楽しみにしているのは、魔物を狩るのが好きだかららしい。時の監獄で話を聞いてて、分かったことがある。リカは重度の戦闘マニアだ。

 と、こんなことを考えながら魔物を【気配感知けはいかんち】で探していると、3匹の魔物を見つけた。


「お!早速見つけ――」


 ん?何かあの魔物、警戒心強くないか?

 魔物の行動に違和感を持った俺は、その方角を【魔眼まがん】でじっと見つめる。


「あれは!」


 そこには、4人ほどの冒険者のような人間がいた。

 あれはパーティか?

 って、そんなこと考えている場合じゃない!


「リカ!」


 俺が言うと、「分かってるよ」と言わんばかりな表情で言った。


「うん」


 リカから返事が来た瞬間、俺は急いで向かった。そう、

 俺にとっての急ぐっていうのは、光速レベルだ。つまり、俺が動いてから0.1秒もかからずに着いた。そして、冒険者らしき人たちの前まで来た。

 男の人が2人に女の人が2人か………

 いきなり助けるのも違うだろうな。まずは尋ねてみるか。


「お困りか?」


 俺がそう尋ねると、その中の、震えてる女の人が言った。


「た、助けて!」


 俺は、他の3人にも聞こうとしたが愚問らしいな。皆もう泣きそうだ。


「分かりました」


 俺はそう言うと、集中して能力を使った。


「【インベントリー】」


 俺はそう言って、現れたホログラムのようなインベントリーの中から、を選び、インベントリーに手を突っ込んで引き抜いた。そして、目を閉じて集中した。


「ふー」


 そして、俺は相手の強さを知るため、常時発動の【剣の支配者ソードマスター】を利用して、横薙ぎの一閃を放った。


「「「「「え?」」」」」


 俺と4人の冒険者らしき人物は呆然としてしまった。

 なぜなら俺の放った一閃が、まるで空気でも斬るかのように、魔物の首をきれいに斬ったからだ。

 俺が呆然としていると、リカが遅れてやってきた。


「なんだ、もう倒しちゃったの?」


 と、リカが残念と言わんばかりな感じで言う。

 あと、今のリカは人間の姿をしている。【擬態】を使ってから元に戻ってないからな。

 それより、


「少しは強いだろうと思っていたのに、ここまでとは………」

「でも、これじゃあ練習にならないね」


 と、俺は最弱の魔物を相手にしたかのように話した。それを見て、冒険者らしき

 4人はもう、呆然を通り越して引いていた。

 その4人の存在を思い出した俺は声をかけた。


「あの、大丈夫だったか?」


 俺がそう言うと、一瞬戸惑っていたがリーダーらしき男が声をかけてきた。


「………ん?」

「ああ、助かったよ」

「助けてもらった訳だし、一応、自己紹介するね。僕はヒューリー。あっちの何か言ってる男はカートだよ」


 そしてカートの方を見ると、何かうつ病みたいになってる………


「もう何もいない…もう魔物はいない…僕は死なない…」


「はは…」


 俺はそれを見て、只々苦笑いをするしか無かった。ヒューリは話を続ける。


「それで、あっちの女の子はパシー。あそこの震えている女の子はリリエラだ。」

「そして、俺らは冒険者。パ-ティを組んでいて、ランクは僕がS、他の3人はAだよ」


 ここで補足しておくと、冒険者にはランクがあり、下からF、E、D、C、B、A、Sだ。

 だから、相当強いパーティのはずなんだが………………………

 そんなことを思っていると、ヒューリが話しかけてきた。


「ねえ、あの魔物は魔王軍の四天王のうちの3人だったんだけど、それをあんな簡単に…………」


 え、嘘だろ!?いやいや、さすがに無いだろ!と、さっき倒した魔物を見る。

 って、マジじゃん!

 すると、こっちを見て言った。


「さっきから、気になっていたことがあるんだけど………」


 と言うと、ヒューリは真面目な顔で言った。

 何か、嫌な予感がする………


「君は何者だい?答えによっては、命を懸けてでも他の3人を逃がすけど」


 まずい、どうしよう。今、一番言われたくないセリフだ。

 ん~~~

 …………………………

 ………

 ここまで言われちゃしょうがない。信じてもらえるかは別として、観念して言うか。


「ふー………」

「俺は海斗。異世界人だ。そして、あっちは最高神のリカノールだ。」


「「「「ぷぷっ」」」」


 と、俺の言ったことに対して、4人は笑いを堪えている。てか笑ってるだろ!

 はぁ、別に信じてもらわなくて良いが、何かムカつくから証拠を見せてやろう。


「リカ、【擬態】を解いていいよ。あと、姿は小さいのじゃなくて、本来の姿にしてくれ」


 俺がそう言うと、リカは一瞬悩んだ。だが、


「分かった。良いよ」


 と言ってくれた。そして、リカは唱えた。


「【擬態】、能力解除キャンセル


 リカがそう言うと、体がどんどん変化していく――そして、最初に会った時のように、神々しく輝いていた。

 次に、ヒューリたちの方を見る。そして言った。


「信じてもらえたか?」


 俺がそう言うと、ヒューリたちは頷く。


「あと、勘違いしてほしくないが、俺は人間だけどリカより、何もかも上だからな」


「「「「!?」」」」


 今までの中で、ヒューリたちの反応が一番大きかった。









 ※ここで出てきた能力は、第2話で説明します。

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