第7話 異世界への扉


 ―静岡 20時40分 自宅のリビング―



「はあ、疲れた………」


 あれからずっと、リカに振り回された。


「でも意外だな」

「リカがそういうものに興味を持つなんて」


「うん。私も、まさかハマるなんて思わなかったよ」


 俺が意外と言ったのは、リカがオタク物にハマっていて、最初は俺が振り回してしまうと思ったが、意外なことにリカが色んな所に行って俺が制御する羽目になった。

 まあ、俺も買いたいものは買えたし、満足だから良いけど……

 でも、リカが暴走しすぎて当初は17時ぐらいに帰るつもりだったのだが、20時になってしまった。なぜ、そんなに興味を持ったのかと聞くと「ここは、使えない能力。いや、存在していない能力がたくさんあるんだよ!」と、言った。

 確かにそうだな。リカの知識からは、なぜか オタク系のものは一切なかった。いや、。俺の推測だが、日本の知識が何かの理由で、全て無くなっている。そして、元々【能力創造】という能力も無かったんだろう………………………………ん?

 でも、それならアレクシアはどうやって、俺に能力を与えたんだ?

 そんなことを考えていると、リカが問いかけてきた。


「何考えこんでいるの?」


 その答えに、俺はあやふやな答えで、


「ん?ああ、何でもないよ」


 と言った。


「そう?別に良いなら良いけど」


 とリカが言うと、リカは真面目な様子で言った。


「これからどうする?」


「うん、そうだな……」


 毎度お馴染みの質問だが、どうしようかな。でも一応は、時の監獄の中で考えてみたりもした。

 それは、魔法のある異世界への移住だ。その理由は二つある。一つ目は、能力を使っても迷惑が掛からなかったりするから今の生活よりは楽になるからだ。そりゃあそうだろう。この地球世界では無暗に、能力を使えないしな。もし使ったら、たぶん解剖されるか、危険人物とみなされ命を狙われるかだ。だから、異世界の方が楽だし、楽しめるということだ。二つ目は、異世界人と戯れたいからだ。知識では知っているものの、実際に見たことがない。それに、そこの世界には人間族、亜人族、エルフ族、女神族、魔族、吸血鬼、精霊というような色んな種族がいる。だから行きたいんだ。

 うん。これが良いな。時の監獄では、かなり悩んだりもしたが、結局のところこれが一番良いからな。

 俺はそう決心すると、先にリカが察したように言う。


「決まったみたいだね」


「ああ。異世界に行こうと思う」


「分かった。じゃあ早速用意するね」


 というのも、時の監獄で、もうそう言った能力を造っているからだ。

 その名前は【異世界への扉ディフェレントワールドゲート】だ。これも、【時の監獄への扉タイムプリズンゲート】と原理は同じ。今いる世界と別の世界を繋ぐ扉だ。

 ていうか、毎回俺が決断する時「決まったみたいだね」って言うんだよなぁ。俺ってそんなに顔に出るか?

 と、考え込んでいるとリカの準備が終ってきたことに気づいた。


「出来てきたみたいだな」


 ここで補足しておくが、ゲートを使用するには時間がかかる。それは、当たり前と言っても良いだろう。なぜなら、世界と世界を繋ぐ明確なイメージが必要だからだ。つまり、最高神リカの知識があってこそだ。俺は出来ないか、だって?その答えは、もちろん出来る。だが、俺よりリカの方が精度は高い。その理由は、その場所を見たかどうかだ。それだけで、イメージがかなり鮮明なっていき、俺とは比べ物にならないほどのものが出来る。ただ、精神を大きく消費するため、普通ならあまり使えないが常時発動の【精神共有スプリットシェア】で、それをカバーしている。どうやら、俺の精神は怪物バケモノらしい。

 そんなことを思っていると、リカが準備を終えた。


「出来たよ」

「じゃあ、早速使うけどいい?」


 リカがそう問いかけると、俺は


「ああ」


 と、答えた。俺がそう言うと、リカは詠唱する。


「【異世界への扉】」


 リカが唱えたとき、目の前に扉が現れた。

 時の監獄の時とさほど変わらないが、ってそうでもないな。すごく変わってる。特に見た目が。【時の監獄への扉】は黒く、何も描かれていないのに対して、【異世界への扉】はボロく、ダンジョンゲートみたいな感じの扉だ。

 まあ、ここで悩んでもしょうがない。行くか。


「とりあえず行こうか」


「そうだね。行こ行こ~」


 と、リカは軽めに言う。

 そして、俺は扉に手をかけ、そのまま押す。こういうのは押したい気分だからな。

 扉が徐々に開いていく。

 そして、その先に待っていたのは、見渡す限りすべて草原地帯だった。風が気持ちいい。ただ俺はこの景色を見て、一番強く思ったのは、



 異世界キターーーーーー!

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