第5話 時の監獄での修練

「っ!?」


 俺が扉に手をかけて引いたとき、目の前が真っ白になった。


「どうやら、無事に成功したみたいだね」


 リカノールがそう言うと、俺もそれに応えて言った。


「ああ、そうみたいだな」


 扉の向こう側には真っ白な空間が広がっていた。


「とりあえず、入るとするか」


「そうだね」


 ドキドキしながら入ると、そこが異世界ということはすぐに分かった。

 なぜなら、その空間には何も存在しないのだ。

 ただ一つ、思うことがあった。


「ここなら存分に試せそうだな」


 俺はわくわくに満ちた声で言うと、その言葉に同調したように彼女は言う。


「楽しみだね」


 そう言って俺らは、修練していく。



 ―1000兆年後―



 もう何年経っただろうか。

 そう思った海斗は

 そう、を……………


 ここで1000兆年の間に何があったのか説明しよう。

 っと、その説明の前に1000兆年とかいう馬鹿げた年数について一言で説明すると、【能力創造】とリカノールのせいだ。

 もっと簡単に言うと、【能力創造】とリカノールの知識のせいだ。そのせいで、能力がどんどん完成していき、それを極めたくなってしまい、結果、1000兆年とかいう年数になってしまったということだ。

 それはそれとして、何があったのかについて説明すると、それは最初のころに戻る。



 ―999兆9999億9800万年前―



 何ということでしょう。

 何も無かったはずの空間に、一つの城が建っているではありませんか。

 っと、茶番はここまでにしておこう。

 その城の中では一人の男と神々の王がいた。


「リカ、他に新しい能力はあるか?」


「うん、まだたくさんあるよ。10万ほど」


「そうか、それは楽しみだ」


 俺は、ここまで1000ほどの能力を創造し、それを極めた。

 今持っている能力はたぶん多分、全部熟練度MAXだろう。あと、リカノールのことは仲良くなったら、自然とあだ名で呼ぶようになった。

 正直終わる気がしない。だって、どんどん楽しくなっていくんだよ………

 それで、能力を創造していく上で、色んなこと応用できることが分かった。例えばこの城は、【物質創造】で造った。この時計もそうだ。他にも、魔法の知識を得て、スマホの充電を魔力で出来るようにしてみたり色んなことを発見した。

 あと、能力の発動も使っているうちに、使う能力を思い浮かべてその能力を言うだけで使えるようになった。

 しかもこの空間、腹が減らない。だけど、一応料理はしている。

 そんなこんなで、この空間からはもう数億年は出られそうにない。



 ―999兆9999億9800万年後―



 そのあとも、色んなことを発見したりして、どんどん籠っていき今に至る。


「はあ………なんかすごい経ったな」


 俺がそんなことを言っていると、リカノールは呆れたように言う。


「本当だよ。普通の人なら、まず100万年も耐えられるかどうか………」

「海斗ってある意味天才だよ。ていうか、異常だよ。最高神の私でさえこんな人間見たことない」


「しょうがないじゃん」

「創造していくたびに、どんどん楽しくなっていくんだよ!」

「でも、それももう終わりか………」


「そうだね」


 俺がこういったのは、そう、最高神リカノールを知識量とか色々超えてしまったからだ。いや、1兆年の時点ですでに、知識量は超えていたんだけど………

 他にも、


「まさか、私を超えるとは思わなかったよ」


 彼女はまた、呆れたように言う。


「俺も驚いたよ。これで晴れて最高神だね」


 俺は、冗談を含めて言う。

 そういうと、彼女はにっこりと笑顔を浮かべた。まるで「そうだね。おめでとう!」と、言っているかのように顔で語っている。


「いや、ツッコんでよ!さすがに最高神は重いって!」


「ぷぷっ」


 彼女は笑いに耐きれなくなり、ふき出した。


「むっ!」

「もう出るよ。久しぶりに外に出たいからな!」


「了解~」


 もう、リカの奴………

 というのもあるが、外に出たいという気持ちの方が今は強い。本当に楽しみだ。

 ここでもう一度説明しておくが、ここは時の監獄、時の止まった世界だ。だから、元居た世界はこのゲートに入る前の時間になっている。

 ということで、焦れったいのも嫌だからそろそろ行こうか。


「【時の監獄への扉タイムプリズンゲート】!」


 そう言うと、彼の前に扉が現れた。


「それじゃあ行こうか」


「うん」


 そう言って、彼は扉に手をかけそのまま引いた。

 その瞬間、目の前が光に包まれ、それが治まると、懐かしいような真新しいような風景が、彼の前に広がった。



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