第4話 時の監獄への扉
「今日から君は、リカノールだ!」
「そうか、リカノール………リカノール…」
「………うん、気に入ったよ!」
彼女は笑顔で応えた。
どうやら、気に入ってくれたらしい。
「そうか、それならよかった」
本当に良かった。
害のない奴っていうのは分かるけど、まだ謎が多いからな。
「うん」
「それはそれとして、海斗はこれからどうするつもりなの?」
あっ。
能力のことばかり考えていて、そんなこと考えてなかった……………
「その顔、何にも考えてなかったでしょ」
どうやら表情に出でいたらしい。
「はい…」
「まあ別にいいけど、そういうことも頭に入れといてね」
「一応、私は最高神だから、どんな世界の知識もここに入ってる」
と、彼女は自分の頭を指した。
「だから、かなり役に立てるよ」
どうやら彼女はどんな選択をしても手伝ってくれるらしい。
「ああ。ありがとう」
「その時は協力してもらうよ」
本当に心強いな。
さて、これからどうしたもんかね。
「正直、異世界に行きたいってのが本心だけど……………」
「でも、最初はいろいろ能力を試してみたいな」
「そうだね。でも、どうするの?」
修練する場所が欲しいところだな。
うーん……………そうなると、アレしかないな。
「試したいことがある」
海斗はそう言うと、リカノールに耳打ちした。
「なるほどね~」
「いい案だと思うよ」
「そうか、じゃあ早速試してみよう」
「リカノール!【能力創造】を使う」
「了解」
ここで補足しておくが、俺はリカノールを呼び出したことによって、【能力創造】は数段レベルアップした。なぜなら、【能力創造】はより鮮明なイメージ力を必要とする。あと、言っていなかったと思うが【最高神】にはもう一つ力がある。それは、保持している能力の共有だ。今回の場合は契約みたいなものだと思うけど………
だから、いろんな世界の知識を持っているリカノールはこの能力に適している。
「能力を使用。使用能力【能力創造】」
彼女の掌に、青く光り輝く球体が現れた。
そういえばリカノールって、システムログインしなくても能力使えるんだな。
今度教えてもらおっと。
そして、彼女は目を閉じて球体に意識を向ける。
「創造。【
そう、僕が考えたのは時の監獄。つまり、時の止まった世界への扉だ。
一応、説明しておこう。能力【時の監獄への扉】は時の止まった世界と今いる世界とを繋ぐ扉。分かりやすく言うと、異世界への扉だ。もちろん、その世界がなかった場合は、勝手に仮想世界が造られるようになっている。
そして、俺がこれを選んだのには、二つ理由がある。
まず一つ、時の監獄は何も無い真っ白の終わりなき時間、無限に広い空間であること。
これによって、何かやらかしても問題がないし、いくらでも能力を試せる。
もう一つは、憧れていたから。
これは…うん、我ながらしょうもないな……
俺が自分の心の中で語っていると、リカノールが問いかけてきた。
「これってもう使うの?」
語っていることに夢中になっていた俺は、慌ただしくも応えた。
「ん?あ、うん」
「了解」
「能力を使用。使用能力【時の監獄への扉】」
彼女がそう言うと、目の前に扉が現れた。
「おお!すごい!」
あまりにも、イメージと合っていて興奮してしまった。
「そうだね~」
「とにかく入ってみよっか」
「ああ。そうだな!」
そう言って俺は扉に手をかける。
――――これが、頂点者への最初の大きな一歩だった――――
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