第24話 思い出

まだ明け方の元は祖母の家の部屋

めがさめるとひとりでねていた。さっきまでだきしめていたはずなのに。でも微かに彼女の残り香がある。

周りをみわたしてもいない。上着をはおってベッドからぬけだす。

リビングにいくと、カーテンがたなびいていた。

そこからは海岸が一望できる。

外はもうすぐ日の出。海岸線が少し白白してきている。もう少ししたら朝日が顔を出すだろう。

ベランダにでて1人で海岸をみていた彼女を後ろから抱きしめる。

「起きたら横にいなくて。不安になるよ。」

「綺麗よね。私ここからみる景色がだいすき。忘れないわ。」

と振りむいて笑う彼女。彼女の胸にはお揃いのネックレスが光っていた。



ガタッと音がして現実に引き戻された。

いつのまにか寝ていたみたいだ。

彼女の母親から聞いた病院へ向かう電車の中、少し眠ってしまった。

幸せな頃の夢、何嫌な予感がする。


病院につくと、サッカーのジャージ姿の女の子から声をかけられる。

「ユウさんですか?私はカナと言います。ユイとは幼馴染です。

こちらです。歩きながら少し話ししていいですか?

これは今日ユイと行く筈だった、ライブチケットなんです。

ユイ生まれて初めてライブにいくの随分前から本当に楽しみにしていました。」

それは今日のユウのライブチケットだった。知らなかった。ライブのチケット取っていたなんて。

彼女から渡されたのはライブチケットとユウが送ったお揃いのネックレス。ネックレスには血がついたままだった。

「これは貴方にお渡しします。彼女は本当に貴方のことが好きでした。

彼女は今朝目を覚ましました。しかし、記憶の一部がなくなってしまったのです。」

僕はその場に立ち止まってしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る