第19話 すれ違い

今日から1週間オフだ。

社長にお願いされていた世界デビューの曲やアルバムの曲はソウに送って確認おわったし、仕事絡みはもう完全オフ。

携帯電話は家においていくことにした。

しばらくは実家行く予定で最低限の荷物と何冊かの本。私物のタブレットだけもった。

愛車に乗って家をでる。


病院の喫茶店についたのは16時くらいだが、あまり人はいない。

いつもの席に座って、アイスコーヒーを飲みながら、読書していた。

しばらくしたら、同じ飲み物と本をもった彼女が横に座った。小さな声で

「ちょっと早くきたと思っていたけど、私のほうが遅かったですね。」

「待ち遠しかったよ。君にあえること。」

彼女は少し照れて笑った。

「横よいですか?」 

とS国語で彼女は言った。

「もちろん。」

とT国語で僕がかえすと彼女はビックリした顔した。

何気ない話を沢山した。

それだけで、しばらく離れていた時間が段々埋まっていく。 

「S国語大分うまくなったね。」

「まだまだです。最初は不可侵の曲聞いてどういう意味か知りたくて、勉強はじめました。

それから、ここにいる時、子供達に教わって。

次は貴方に会えるから、一生懸命勉強しました。

ユウさんはいつの間にT国語を?」

彼女がS国語を勉強しはじめた理由は雑誌のインタビュー記事に載っていて知っていたけど、本人から聞くと嬉しさ倍増だな。

「君と話できたらって思ってと、T国語の歌詞書いてみたいから、ソウ達に教わって。

普段は歌詞はソウが書いているんた。僕は主に作曲の方。」

「そうなんですよね。でも、今回の曲はユウさん作詞作曲だったですよね。」

「そう、なんか今回は曲と詞が一緒にできたから。

この曲、I国語とT国語バージョン作ることになって、T国語勉強した。」 

「すごいもう上手です。」

あっという間に8時になった。

離れがたい。

「どれくらいこっちにいる?」

「実は体が回復する間だけだったので明日帰国します。なので、今日が最後です。」

彼女が離れていく。

「最後に目の前の公園歩きませんか?

いつもここからみているだけだったから。夜ならと一緒でも歩ける?」

外はもう暗い公園を歩く。でも彼女と話ししながらゆっくり歩いた。

「今日はますます離れたくない。」

自分がもうわからない。このまま連れ去りたい。

と思ったら彼女の手首を掴んでいで腕の中に引き寄せた。抱き寄せると、ふわっと彼女の香りがする。耳元で、

「また、あなたのいない日々に戻るのはつらい。」

彼女は薄ら涙目だった。指で涙をぬぐってそのまま強引に彼女の唇に重ねた。

彼女が顔をあげて僕の目をみて言った。

「貴方がわたしと会うことは貴方にとってよくない。もう貴方に会うことはありません。

でも、これからも貴方のファンでいさせて。」

「どうして?僕が不可侵のユウだったから?」

「貴方に迷惑かけたくない。」

「君に会うまでは僕の世界は黒白しかなかった。

僕の世界に色や言葉を運んできてくれた。」

「ごめんなさい。」

彼女が腕のなかから消えた。






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