第16話 サッカー国際試合開幕

連日、スポーツ番組では女子サッカー国際試合について。世界数十カ国で僕らの歌とともに放映される。

I国や、数国のチームは早めに入国して、最後の調整をしているが、T国は近いことあり、自国で調整し試合の数日前に入ることになった。


先陣をきるS国の試合が始まって、番宣や競技場で歌う機会があったが、彼女とは会えない。

T国の試合が始まっても、観戦にさえいけない日が続いた。

毎日いままでどおり、ネットで結果やダイジェスト映像見るだけ。

せっかく、一緒の国にいるのに、簡単には会えない。

T国の予選グループは毎日激戦が続いていた。

彼女のチームはなんとか2位で決勝トーナメントに進出した。


決勝トーナメントを前に各国の代表を集めて、トークイベントがあり、僕らはゲストとして参加することになった。



久々に彼女に会える予定だったから、楽しみにしてた。リョウもお礼言うこととプレゼントまで用意していた。

しかし、彼女は会場には現れなかった。

主催者に聞いたところ、クロキ選手は予選最終戦で相手チームの選手と接触して怪我をしているから今日は大事をとって不参加だということだった。

リョウはかなりガックリした。もちろん、僕も。


決勝トーナメント決勝の対戦カードは前評判どおり、 I国対T国だった。S国は I国に負けてしまったがスタジアムは S国の人達やI国の応援でいっぱいだった。

僕らはこの後行われる表彰式のプレゼンターを務めるためにきていた。リョウも、僕も試合見れる。

今日は彼女はスタメンでキャプテンマークをつけていた。

両国の国歌斉唱の後、写真撮影があり、しばらくしてホイッスルがなった。


やはり、彼女にはピッタリと相手チームディフェンダーがひとりマークしている。

なかなかマークがはずせないらしく、苦戦はしていたが、前半30分華麗なルーレットターンから相手ディフェンダーをふりきり、ゴール前へしかし、別のディフェンダーが激しいスライディング。脚に直撃ファール。相手ディフェンダーはイエローカードをもらった。

彼女は倒され脚がいたいのがしばらくのたうち回ったがなんとか立ち上がる。

フリーキックが与えられる。

フリーキックは他の選手に任せて彼女はゴール前へ


ピーと鳴って、フリーキックでけられたボールはゴール前にいる彼女のヘッドに吸い寄せられるかのようにドンピシャのタイミング。ヘッドで押し込んで、先制点をあげた。



僕とリョウは決まった瞬間、拍手して立ち上がった。

しかし、T国の応援席からは拍手と喝采があがったが、S国やI国の応援席からブーイングがおこった。

ボクは誰であっても素晴らしいプレイに感動する。

皆が同じ気持ちではないからしかたない。


試合は完全にシーソーゲームだった。

どっちか点をとればまた相手もとる。

延長戦後半3分すぎ、彼女が仕掛ける。トップ下から左手に出たボールをスピードのあるドリブルで相手陣内を進む。ゴール前で待つ味方へセンターリングしかし、相手ディフェンダーに当たってゴール側へ出てしまった。

はあ!残念

と思っていたけど。

コーナーキックになった。今度は彼女自身が蹴るようだ。ゴール前に指示をだしている。

彼女が手を上げた後蹴った。綺麗な弧を描いてダイレクトでゴールへ。

これが決勝点になった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る