第13話 再会②
夕方、携帯電話に着信が入る。携帯電話みたいだ。
「あの、クロキです。」
彼女はI国語が堪能だ。こちらから I国語で答える。
「会って話したいんだが?」
「では、病院の中の喫茶店はどうでしょうか?6時くらいに。」
「じゃそれで。」
6時に約束した場所にいくと、人があまりいないし、安心した。
窓際で待っていると、アイスコーヒーを2人分もって彼女がやってきた。
「こないだ、飛行機の席ゆずってくれてありがとう。やっと君に感謝の言葉言えた。」
「私も貴方に確認したいことがあります。
貴方はYO Uさんですよね。不可侵の。
そして、私が設立した基金に多額の寄付をしてくれたyouさんではないんですか?」
面食らった。後者はバレるようにしたが前者もバレてるとは。
「そんな多額の寄付をうけとるわけにはいきません。しかし、貴方のおかげで今日幼い子どもが助かりました。ありがとうごさいました。
私自身がいつかお返しします。」
「あれは、君がゆずってくれた飛行機代を返しただけだ。返す必要はない。」
やっと彼女は少し笑った。
思っていた再会とは違ったけどおもっていたとおりの彼女だった。
彼女は僕と話す時話を聞く時、かならず僕の目をみている。クリクリのブラウンの瞳は表情ゆたかだ。
その瞳に吸い寄せられる。
「あのぉ。聞いていいのかわかりませんが、体調でも悪いのですか?ここ病院ですし。」
確かに今日の服装は朝急いででてきて、普段家にいる格好だし、携帯しか手にしていない。ちょっとみ、患者に見えなくはない。
「家族がちょっと。僕は元気です。」
かなり安心した顔をした彼女は
「すみません。個人的なこと聴いて。」
こっちも聞きたいことがある。
「あなたこそ、有名人だよね。なんでここに?
来国しているなんて報道されてないよね。」
「はい。今回は私的な用事できてます。」
聞くと、医療従事者として学会の参加と彼女が設立した基金を使って治療を行なっている子供に同行してこの病院にいるらしい。
「しばらく、こっちにいるの?」
「その予定です。」
たわいない話をしながら、アイスコーヒーを飲んだ。
小一時間すぎたころ、彼女は言った。
「もう帰ります。みんな心配するから。」
「また連絡したいけど。 S N S交換してほしい。」
交換した後。
「不可侵のユウと交換したなんて誰にも言わないです。T国では貴方の人気たかいです。
前のアルバム買いました。試合の前に聞いたりしてます。」
「えっ本当に。でも S国語だよ。」
「私達はききますよ。この国の音楽。
では、もう行きますね」
と名残惜しいけど別れた。
でも、やっと彼女に感謝の言葉が言えた。
少し満足した。
彼女と過ごした会話、時間がたまらなく楽しかった。
しばらく、喫茶店で1人で過ごした。
なんとなく、家にまっすぐ帰って1人になるのは嫌だったし、病室にもどった。
病院からは今晩は付き添いがいらないと言われた。
母さんは一人家に帰ることを拒否した。
父さんのお願いで、母さんを実家に送ることにしたが母さんは父さんがいない家に帰りたがらないから。
しばらく休んで実家に滞在して病院の送り迎えをかってでた。
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