第2話 出会い②
急いで、T国の航空会社のカウンターへ。
何人か並んでいたけど、割とすぐに順番が回ってきた。
自分はT国語がほとんど喋れない。リョウは大学で専攻してるから、ばっちりだ。しかし、係の人はs国語が堪能だった。
「すみません。たった今ソウルドアウトしました。」
今日は本当に運に見放されているようだ。
2人してショックでうなだれていると、リョウより若い女の子から声をかけられた。
「S国へ帰りたいのですか?
あ、すみません。私、S国語しゃべれなくって。何で言えばいいのかな?」
すかさず、リョウが
「少しならわかりますよ。
はい。S国へ帰りたいのですが、チケットがなくて。」
自分はT国語がわからないから2人が何をはなしているのかわからない。
それよりも彼女の方が気になった。
リョウより少し下20歳くらいだろうか、一生懸命リョウの話を聞いて真摯な態度かすごく好印象をあたえる。彼女を見るのに夢中だったらしい。
リョウが
「彼女が自分と同行者のチケットを譲ってくれるみたいなんだ。
でも、こんな若い子から譲ってもらって、この子T国に帰れるのかな?心配だな?」
「リョウ、帰れるか聞いてみてくれないか?」
彼女は
「大丈夫。心配しないで。一緒に航空会社のカウンターで手続きしましょう。」
カウンターにつくと、係員が彼女を見つけ、駆け寄ってきた。
彼女がチケットを彼らにと話しているが、係員は渋っているのがわかる。
チラッと聞こえる話が難しくてわからない。リョウも同じらしい。
しばらくしたら、彼女がきて
「もう時間がないのでこのチケットで乗ってください。途中まで客室乗務員が迎えにきます。
さあ行って!私は大丈夫です。」
と言って、搭乗口へ送り出してくれる。
でも、振り返って
「本当に大丈夫なの?見ず知らずの僕らにチケット譲って!」
「私は別の便で帰れることになってます。気をつけて。さあ行って下さい。」
搭乗口から飛行機へ向かう時、一度だけ振り向いたら、スーツを着た人達が何人か彼女に近づいて、別のカウンターへ行った。
自分達は無事に、飛行機に乗って帰国ができた。
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