第3話 君の価値を教えてやろう3

モニターの左からその女性は現れた。

年齢は幼くも見えるしそれでいて大人っぽい妖艶さも備えていて判別が難しい。

歩く姿は洗練されていて、落ち着いた知性溢れる人間の印象を与える。

声や話し方は美しい。


僕は彼女に圧倒されて、演説が終わった後も、しばらく動けなかった。

彼女(リオン)はそれぐらい魅力的だった。

モニター越しで見ただけなのに少しの隙もない完璧な人間だということがわかった。

聞いた話によると彼女は数10ヶ国語の言語を操り、武道に馬術、あらゆる競技のトッププレイヤーで、医学、物理、経済、心理、美術、他にも上げたらきりがないほどの分野で第一人者らしい。

性格こそわからないが、満点の100万ポイントを出せる人間であるということは火の打ち所のないということなのだろう。


科学による人間の測定は、この世に存在するすべての人間の中で彼女が一番であると結論づけた。


『僕は800000位か・・・』自分の現状に不甲斐ないと思う。

同時にリオンがあまりにも浮世離れしすぎていて、芸能人を見ているような感覚にもなる。自分とは関係のない世界で生きているような。


僕たちの世界には仕事と呼ばれるものがない。僕たちは教科書の中で昔の人が労働の価値をどう考えていたかを読んだりをするけど今の社会では実際に仕事というものをやったことがある人間はいない。実体験として労働というものやった人に話を聞こうと思ったら何世代も遡らなければならない。ちなみに芸能人という職業はもちろん人造人間がやっている。人造人間は僕たちと全く同じ姿をしているが、『アダム』が頭の周りに飛んでいるかどうかで僕たち人間と見分けことができる。彼ら(人造人間)は替えがきくから測定評価が必要ないということが理由らしい。教科書にはそう書いてあった。


僕たちはとにかく人間的な魅力(ポイント)をあげること、それを他人と競うことが社会貢献であると教えられる。魅力的な人間、良い人間が増えると社会が安定すると学校で教えられ、


(僕も労働やってみたいな・・・)

そう思った瞬間こめかみに埋められているチップ『イブ』

が反応した。思ったことや考えたことは『アダム』に蓄えられ、本部に送信される。考えることやなんとなく思う行為でさえ、いわば自分磨きのようなことでありポイントに計算される。今僕が思ったのはプラス評価なのか、それともマイナスなのかはわからない。この社会システムを設計した人にしかわからない。


そんなことを考えていると、目の前の駅ターミナルが突然爆発した。







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君のこの世界での順位を知りたいか?人類ランキング計画 アーサー @Darthur

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