第2話 君たちの価値を教えてやろう⑵
僕(レンジ)は駅ターミナルに現れる巨大なホログラム掲示板を見上げていた。
そこで毎月一日に全国民のランキングが発表される。
その掲示板に1位から最下位100万位の全国民の名前とそれぞれの評価数値が載せられるわけだが、僕のランキングは毎月下位の方で、そのあたりを探すと
800000位 レンジ 評価数値 200000ポイント
『先月よりも少し上がってよかった』僕は少し安心した。
なんせ下位10%つまり90万位以下にはペナルティが待っているので、そこまで順位を落とすわけにはいかない。
ペナルティの内容は公式には発表されていないし、それが下された人を見たことも聞いたこともない。ただランキングが発表された後しばらくするといなくなってしまう。生活の痕跡ごと消えてしまい、一度いなくなってしまった人ともう出会うこともないらしくそのことが僕を不安にする。
ただその不安がなんとか評価数値を獲得して順位を上げようとするモチベーションになっている。
評価数値ポイントは人間のすべてを表しているポイントで、具体的にはその人の
ルックスや身体能力、知力、性格、思考、行動内容、その他ありとあらゆるものが評価され数値化されている。
僕たち国民には完全な球体のドローンが与えられていて、それが常に頭の周りを飛んでいる。その完全な球体は『アダム』と呼ばれ、林檎くらいのサイズで光沢のある銀色をしている。ドローン『アダム』は頭の周りを飛びながら、僕たちを監視モニタリングしていて見た目や身体能力を数値化できるのは24時間この飛行球体が監視しているためだ。そして僕たちは20歳になると同時にこめかみあたりにチップを埋められる。それは人間の脳の活動を完全に解析し思考の内容までを正確にに突き止めドローン『アダム』に伝達する。頭の中で何を考えているかはお見通しというわけで、良からぬことや如何わしいことを考えると評価数値ポイントがマイナスされるだろう。
そしてこのチップは『イヴ』と呼ばれている。
僕は見た目や運動神経はそこそこだと自己評価しているんだが知力には全く自信がない、もしかしてそのあたりがこの評価ポイントの理由なのかなとも思っている。
(もっと自分磨きみたいなことをしないとな)
そう考えながら掲示板を見ていると1位の人が発表される時間になった。
トップ10は演説があるので別に発表されることになっている。
1位 リオン 評価数値 1000000ポイント
『、、、満点かよ、、すげぇ、、』僕が驚くと同時に
ホログラム掲示板は演説会場の映像に切り替わり
長い黒髪の女性の姿を映し出した。
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