第39話
試合が始まってから十分が経過した。
得点は8対12、女子バスケットボール部が優勢だ。
逆転は難しい点差であるが、彼女達の実力差を考えれば、むしろよくここまで持ち堪えたと賞賛すべきだろうか。
いや、違う。
これまでの戦況を鑑みれば、とっくに決着はついていたはずだ。
オカルト倶楽部が喰らい付いているのは、意地や根性が理由ではない。
「梔子!」
椋実先輩が手を挙げてパスを要求する。
彼女の立ち位置はコートの端で、椋実さんの方がゴールに近い。得点を狙うなら椋実さんにボールを回すところだ。
にも関わらず、梔子先輩は椋実先輩にパスを出した。
ゴール下を守っていた赤錆さんと烏羽さんは間に合わず、椋実先輩にボールが渡る。
仕切り直しが必要な場面ではない。
しかし、椋実先輩はその場で悠長にドリブルを始めた。
まるで、誰かを待ち構えるように。
「私が!」
近くにいた濃墨先輩が、一足遅れて椋実先輩の前に立ちはだかる。
三年生同士の対決。
二人が相対したのは一瞬で、椋実先輩は差し替えるだけの簡単な足捌きで、あっさりと抜き去った。
濃墨先輩は目で追うことすら出来ていない。背後に靴音を聞いてようやく振り返る頃には、椋実先輩はシュートの構えに入っている。
「オラッ!!」
烏羽さんが跳んだ。
ゆるりと放たれたボールを気迫と共に弾き飛ばし、こぼれたところを赤錆さんが拾う。
女子バスケットボール部は攻撃に失敗した。
だというのに、椋実先輩はちっとも焦った様子がない。ぷらぷらと手を揺らして、何事もなかったようにポジションに戻る。
反対に、オカルト倶楽部の表情は深刻だった。
目には辛うじて光を残しているが、息は上がり、汗は流れ、動きに精彩がない。
栗皮さんの悪い予感は当たってしまった。
もはや椋実先輩にとって、勝利することは重要ではない。
濃墨先輩を、オカルト倶楽部を蹂躙すること。
どちらが下かを徹底的に教え込み、踏みつけ、嘲笑うこと。
彼女はそれだけに注力している。
赤錆さん達もすでに気がついているはずだ。それでも、僅かでも勝ちの目があるうちは、彼女達は諦めたりしない。
赤錆さんはボールを持ってラインの外に行き、椋実さんと形式的なやり取りを終える。
赤錆さんは一つ息を置いて、烏羽さんと視線を交わす。
左に切り込むと見せ掛けて急停止した。釣られてつんのめった椋実さんの逆をつき、烏羽さんに速いパスを出す。
梔子先輩がいち早く反応するが、烏羽さんの筋肉は伊達じゃない。肩を強く張り、梔子先輩のガードを跳ね除ける。
ボールをがっちりキャッチして、ゴール下に向かって走り出していた赤錆さんに返す。
高速のワンツー。
椋実さんが追うが、赤錆さんが跳ぶ方が早かった。
宙に置いてくるレイアップシュートは当然のようにリングをくぐり、床に落ちたボールが小さくバウンドする。
「やられた。やっぱり上手いなあ、赤錆と烏羽は」
得点を決めてなお険しい顔の二人に、椋実先輩が近づく。
あからさまなお世辞だ。
烏羽さんがボールを強めに突き返すが、気にした風もない。
涼しい顔でボールを弄びながら、ゆったりとした足取りでラインの外まで歩いていく。
「よし。気合い入れ直すよ」
椋実先輩がわざとらしい発破を掛けて観客を煽る。
部員達の何人かは、勝敗とは別の思惑を察しているだろう。それでも部長の意思には逆らえず、声援を大きくする。
コートの中も同じだ。
梔子先輩は感情を殺してパスに徹し、椋実さんは気の毒そうな顔をしつつも、きっちりと仕事をこなす。椋実先輩の威厳は、嫌気がさすほど強く染み渡っている。
「夏燕子」
女子バスケットボール部の攻撃が始まる。
呼ばれた夏燕子さんが駆け寄り、赤錆さんを吊り出した。
その隙に椋実先輩は自らドリブルでゴールに向かう。途中、濃墨先輩が立ちはだかるが、少しの失速もなく脇を通り過ぎる。
長距離シュートを警戒して梔子先輩についていた烏羽さんも堪らず援護に入るが、椋実先輩は彼女の動きを予測していた。
マークの外れた梔子先輩へ、視線もやらずにパスを出す。
両手でボールを受け止めた梔子先輩は、すでにラインの外にいる。
また、あの正確無比なシュートを放たれてしまう。
「梔子」
だが、梔子先輩はうたなかった。
椋実先輩の呼び声でぴたりと静止し、ゴールから遠ざかる彼女を冷めた眼差しで見据える。
何故、ゴールから離れるのか。
疑問が浮かぶが、答えを探す時間は用意されていない。梔子先輩が無表情のまま椋実先輩にパスを出し、低い弾道のそれは誰にも邪魔されることなく彼女の懐目掛けて飛んでいく。
そうして椋実先輩は難なくボールを受け取り、また自分の技術を誇示するのだろう。
そう思っていたのに。
椋実先輩は一歩、横にずれた。
その先には、間に合わないと分かりつつも、パスを阻止しようと走る濃墨先輩がいる。
「濃墨先輩!!」
どん、と鈍い音がして、濃墨先輩が弾き飛ばされた。体育館の固い板張りの床に勢いよく倒れ込む。
急いで駆け寄り、横たわる先輩の傍に屈む。
幸いにも、外傷は見つからない。
だが、近くで見ると一層、先輩の疲弊が見て取れる。
全身を滴る滝のような汗。血の気を失った白い肌。
足の痙攣には本人も気づいていないだろう。呼吸の間隔が短く、このままでは過呼吸になりかねない。
「濃墨!」
「センパイ!」
赤錆さんと烏羽さんも駆けつけ、満身創痍の濃墨先輩を見て息を呑んだ。
二人がかりで先輩の体をそうっと抱き起こす。
「はあ、はあ、ご、ごめ、ごめんなさい。わ、たしが、不甲斐ない、ばかりに」
「いいから。まずはゆっくり息しなさい」
赤錆さんが背中を摩るうちに、徐々に呼吸は安定してきた。
濃墨先輩が震える手を懸命に持ち上げ、僕の手に触れる。
冷たい。先ほどまで運動していたとは思えない体温だ。汗を流し過ぎて、脱水症状を起こしかけている。
「私、貴方と一緒にいたいのに。こんなつもりじゃあ──」
「おいおい。大袈裟だなあ、濃墨さん」
顔を上げると、椋実先輩が腰に手を当てて僕等を見下ろしていた。
烏羽さんが立ち上がり、椋実先輩を真正面からきつく睨みつける。
「あんた、わざとぶつかったろ」
「言い掛かりはやめてよ。試合中の接触なんてよくあるでしょ」
「違う。パス受け取るとき、わざと遅らせた。濃墨センパイとぶつかっても違和感がないように合わせたんだ」
「リズムがちょっとズレただけ。大体、後ろから突っ込んできたのは濃墨さんでしょ。負けそうだからってイチャモンつけるのやめてくれない?」
「テメェ──」
「ありがとう、烏羽ちゃん。もう大丈夫。まだ、やれるわ」
中腰の濃墨先輩が烏羽さんの肩を掴む。
気丈な口振りではあるが、膝は震え、支えがあって辛うじて立っている状態だ。
試合を続けられるとは、とても思えない。
「じゃ、戻ろうか。本人も大丈夫って言ってるし」
そんな濃墨先輩を、椋実先輩は鼻で笑った。
嗜虐的な目で一瞥し、素っ気なく踵を返す。
「待ってください」
椋実先輩が足を止める。
振り返り、頬を掻きながら怪訝そうに僕を見つめる。
「これはオカルト倶楽部と女子バスケットボール部の戦いだ。なら、部員であれば誰でも出場権はある。そうですよね、椋実先輩」
「……まあ、そうかもしれないけど。誰か代わりはいるの?」
椋実先輩は戸惑いながらも、曖昧に答える。
もっとも、彼女が首をどちらに振ろうが関係ない。
どうであろうと、僕の答えは決まっている。
「選手交代だ。僕が出る」
◇◆◇
鳴り止まない拍手と歓声。
観戦の立場でも圧倒されたが、コートの中では更に威圧感を覚える。世界中が自分の敗北を求めているような、そんな気さえしてくる。
彼女たちは、こんな孤立した場所で戦っていたのか。ならば尚更、当事者の僕が怯むわけにはいかない。
恐れる気持ちを深呼吸で丁寧に吐き出していると、不敵な笑みを浮かべた梔子先輩が話しかけてきた。
「かっこいいねえ。でも、手は抜かないから」
上等だ。
梔子先輩の軽口は無視して、低い位置でドリブルしてみる。
「あれっ」
けれど、上手くいかない。
脳内では赤錆さんの鋭い切り込みを再現しているつもりだが、想像以上にボールの反発が強く、まるで安定しない。
悪戦苦闘しているうちに見当違いのところに跳んで行きそうになったので、咄嗟にボールを抱えてしまい、僕は一歩も動けなくなった。
「……ほっけ君。ちょっと無謀じゃない?」
勇んで入った代わりの選手が、ドリブルもまともにできない木偶の棒。
女子バスケ部員達はさぞ拍子抜けしたことだろう。体育館中に響いていた応援も、あまりに情けない僕の様子を見て明らかに勢いが落ちる。
僕はスポーツが苦手だ。
身体的な理由もあるが、単純に運動神経が悪い。
戦力として頼りにならないことは、自分が一番理解している。
「包介、こっち!」
どうすることもできない僕を見兼ねて、赤錆さんが助けに来てくれた。
ほとんど手渡しに近い距離でボールを託し、ゴール下まで一気に走る。
愚直な突進。
普通なら警戒されるが、技術の無さが露呈したおかげかマークは緩い。
赤錆さんから烏羽さんを経由して、再び僕にボールが渡る。
「シュートないよ!」
梔子先輩が叫ぶ。
彼女は僕の右目が使い物にならないことを知っている。
距離感が掴めない視覚では、球投げなんて出来やしない。至極真っ当な判断である。
ボールを抱えて立ち止まる僕に向かって、椋実先輩が走り寄る。
あとは、はたき落とすなりして僕からボールを奪えば、オカルト倶楽部の希望は砕ける。
奪えるならば。
「硬っ……!」
シュートは外れる。パスも下手。
だが、打たれ強さなら負けはしない。
見た目よりも硬かったのだろう、簡単に奪えると踏んでいた椋実先輩が思わず声を上げる。
「ホースケ!」
僕が耐えている間に、烏羽さんが梔子先輩を振り切った。
走り寄る烏羽さんに低いパスを出すと、彼女は救い上げるようにボールを片手で掴み、そのままの勢いで跳び上がる。
「シャオラッ!!」
気合いと共に、ボールをボードに投げつける。
跳ね返ったそれはリングにぶち当たり、ゴール全体を揺らす強烈な得点を決めた。
「シャア!! みたかオラァ!!」
両足で着地した烏羽さんが雄叫びを上げる。
野獣の如き迫力に、傍にいた椋実さんが腰を抜かした。余裕ぶっていた椋実先輩の表情も、目に見えて曇り始める。
オカルト倶楽部の作戦は極めて単純である。
攻撃は赤錆さんと烏羽さんに任せ、彼女達が行き詰まればボールを受け取い、体制を立て直すまで保持する。
普通の試合なら絶対に通用しない力押しだが、体格による優位は大きい。防ぐ方法はあるにせよ、厄介ではあるはずだ。
そして、体格を活かした戦術は攻撃だけに有効なわけではない。
「で、君が私にマッチアップするわけだ」
ボールを抱えてラインの外に出た椋実先輩の前に立つ。
僕より身長は高いが、筋肉が足りていない。抑え込める自信がある。
「交代なんて舐めたことしてくれるじゃない。男子のくせに恥ずかしくないの?」
「全国大会出場者が素人相手にバスケの試合を持ち掛ける方が、よっぽど恥ずかしいですよ。そんなに怖いですか? うちの濃墨先輩に負けるのが」
濃墨先輩は運動を除けば超がつくほど優秀な学生だ。椋実先輩が濃墨先輩を嫌う理由は、自分にないものを持つ者への子供じみた嫉妬だろう。
ボールと一緒に挑発を交わすと、椋実先輩の口の端が引き攣った。
いいぞ。効いている。
感情が先行して動きが雑になってきた。視線でフェイントをかけているつもりだろうが、体の向きでばればれだ。
腕を伸ばして進路を塞ぐと、突破を諦めた先輩は山なりの高いパスを出す。小さい僕の頭上なら簡単にボールを通せると踏んだのだろう。
けれど、予測さえしていれば、反応はできる。
ボールが椋実先輩の指から離れるのと同時に跳ぶ。
残念ながら手のひらには当たらなかったが、腕を掠めたボールは見当違いの方向に飛んでいき、回転を見極めた赤錆さんが競り勝った。
抱え込むようにキャッチして、一度もボールを渡すことなく女子バスケ部の攻撃を凌ぐ。
完封と呼べる結果だ。いよいよ椋実先輩の表情に余裕がなくなり、僕を見る目にはっきりと憎しみが込められる。
これで彼女の標的は僕に絞られた。
冷静に考えれば、シュートの入らない僕は放置して赤錆さんと烏羽さんを抑えるべきだが、今の椋実先輩に頭を回す余裕はない。ラインに沿ってゴールの右側に回ると、目論見通り椋実先輩は僕を追ってきた。
梔子先輩と椋実さんのコンビでは、烏羽さんの進撃は止められない。解放された彼女は赤錆さんと息の合ったコンビネーションを披露し、順当に1点を返す。
続く女子バスケ部の攻撃。
梔子先輩が指揮を執るが、彼女にはハンデが課せられている。椋実さんはシュートに消極的で、まともに攻撃できるのは椋実先輩だけだ。
当然、僕が自由にさせない。
びたびたに張り付いていると、攻めあぐねた梔子先輩はパス回しを諦めてラインの外からシュートを狙う。
そんな見え透いた攻撃を何度も許す烏羽さんではない。高い跳躍力を活かしてブロックし、溢れた球を赤錆さんがきっちり処理する。
これで2点差。
まだ女子バスケ部がリードしているが、流れは僕等にある。
「部長。一旦落ち着きましょう」
しかし、そう上手くはいかない。
梔子先輩が低い声色で諭す。普段は飄々と振る舞う彼女の真剣な表情は頭を冷やすには充分で、椋実先輩の瞳に理性が戻った。
部長らしく、梔子先輩と椋実さんにポジション修正の指示を出す。
「ゾーンディフェンス……」
女子バスケ部は実力を見せつけるためのマンマークを捨てた。
遊撃は椋実さんに任せ、梔子先輩と椋実先輩でゴール下を死守する腹積もりか。
彼女達はようやく僕等を敵と認識したらしい。
ここからは、個人の悪意も嫌味たらしい駆引きもない、真っ向からのぶつかり合いだ。
「いくぞ、ホースケ」
「うん」
烏羽さんがすれ違いざまに僕の頭を撫でる。彼女の厚い手のひらは、僕に勇気と自信を与えてくれる。
ラインの外でボールを抱える赤錆さんにスタートの合図を送る。
赤錆さんはその場で低いドリブルを始めると、俊敏性を活かして椋実さんを躱した。
コートを縦に攻め入るが、すぐに梔子先輩が反応する。
進路を塞がれた赤錆さんは無理に戦おうとせず、烏羽さんにボールを預けた。
だが、梔子先輩の対処が早い。急停止からの切り返しで、すかさず烏羽さんをブロックする。
今までの烏羽さんなら強引に突破していたが、今の梔子先輩は重心を落としている。
体格が上の相手に対抗するための技術だ。押し退けるのは容易ではない。
「チィ!」
烏羽さんは赤錆さんにボール戻して立て直しを図るものの、椋実さんのマークが厳しい。パスは何とか通ったが、積極的にボールを奪いに来る。
数秒粘るが、競り合いが不得手な赤錆さんは僕にパスを出した。
絶対に取りこぼせない場面だ。
足を止めて真正面から受け取り、ゴールを見上げる。
僕のシュートは入らない。
先ほど梔子先輩が口にした言葉を頭の中で反芻する。
たしかに、距離感の掴めない男のシュートは怖くない。
けれど、ゴールの位置を把握する方法は他にもある。
ラインの位置と角度、それと、梔子先輩のフォーム。
力加減は微妙だが、枠に当たれば可能性はある。
観戦時に俯瞰で見た光景と自分の立ち位置を照らし合わせ、片手でそっとボールを構える。
瞬間、音が消えた。
響き渡る応援の声も、靴裏が奏でる擦過音も背景に溶け込み、視点がゴールの枠隅に固定される。
床を蹴り、少し跳ぶ。
体の芯が真っ直ぐにゴールに向け、姿勢を安定させる。
多分、入る。
確信に近い予感を抱き、ボールをリリースしようとした直前である。
椋実先輩が飛びかかってきた。
合理的に考えれば、僕のシュートは身を挺して防ぐほどの危険はない。
彼女も意図しない反射だったのか、目は驚きで見開かれている。
「きゃあ!」
浮いた体で踏ん張れるはずもない。
宙空で衝突し、そのまま押し倒された。
「ご、ごめん! 怪我してない!?」
椋実先輩が慌てた様子で見下ろしてくる。
表情は心配そのもので、濃墨先輩に見せた意地の悪い笑みはない。
嫉妬が彼女を狂わせていただけで、試合中にも相手を気遣える優しさこそが本来の性格なのだろう。でなければ、部長に抜擢されるだけの人望は得られない。
だから、彼女の後頭部目掛けて自由落下を始めたボールが見えた時、守らないと、と当然のように思った。
「ひゃっ」
椋実先輩の頭を抱き寄せ、空いた片手でボールを受け止める。
それなりの高さから落ちてきたので、じんと右手が痺れるが、大した痛みではない。
てきとうなところにボールを放り、椋実先輩の頭を抱えていた腕を離す。
「大丈夫ですか?」
声を掛けてみたが、反応がない。椋実先輩は僕の胸に頬を押し当てたまま硬直している。
安全を知らせるために軽く背中を叩いてみると、先輩は電気を流されたみたいな勢いで体を起こした。
顔が真っ赤に染まっている。跡になるほど押し付けたつもりはないが、ひょっとして力み過ぎてしまったか。
馬乗りになった椋実先輩を見上げるが、彼女は、あ、だとか、う、だとか、妙な呻き声を上げて狼狽するだけだ。
「き、騎乗位」
誰かが何事かを呟いた。
馬に跨ることを騎乗と言うし、今の椋実先輩の体勢は、僕に騎乗していると言えなくもない。
それにしても、随分難しい言葉を使うものだなと感心していると──
「へ、へんたい!」
ビンタされた。
さんざん挑発してきた敵チームの主将の頭を守ったにも関わらず、なぜ謗りを受けなければならないのか。
納得のいかない気持ちで赤錆さんと烏羽さんに視線をやるが、彼女達は胡乱な目を向けるばかりで、全然助けてくれない。
結局、各々の思惑が渦巻く3on3対決は、錯乱した椋実先輩の謂れのない暴力により幕を閉じることになった。
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