第3話

意外なことに、新はそんなに驚いていなかった。いや、薄々勘づいていたのだろう。少し間が空いた後、

「そっか。」とだけ答えた。

「全然驚かないね。もしかして嘘だと思ってる?」

「まさか。ただ、ちょっとショックで、何も言葉が出てこなかっただけだよ。」

「ほんとかよ。」

「マジだって。」

新がそう言った後、何故か何も言えなくなって、それから、

「ごめん、俺、今日は帰るね。明日、また来るから。」

そう言って新は部屋を後にした。

なんでだろう。話している時、新と全く目が合わなかった。俺は自分で死ぬってことがわかっていて、たしかにそれを口に出すのは少し苦しかったけど、その反面、新がどんな反応をするか気になっていた。

けど、

「目、合わなかったし、あいつ、どんな表情してた...?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る