手紙、読む

何色の瓶でどんな蓋がしてあったか、そんなことはもう覚えていません。

唯一、鮮明に覚えているのは、拾った瓶がボトルレターだと気がついたときのドキドキ、高揚感のみです。


どんなことが書いてあるのか、どこの誰が書いたものなのか、手紙を出すまでの時間がとても長く感じました。


もしかしたら、外国で誰かがイタズラで意味のない文を流したのかもしれない。

もしかしたら、詩を書いたが恥ずかしくなって、でも捨てられなかった人が海に流したのかもしれない。

もしかしたら、友達と海に来てボトルレターをやってみた青春の一瞬を切り取ったものかもしれない。


今思えば、どこかの、誰かの思い出の一部分を見られると思って抑えられないドキドキだったのでしょう。


はたして瓶から出てきたのは1枚のメモでした。


内容は、他県の海沿いに住む小学3年生の男の子が描いたものでした。

自己紹介、通っている小学校の話、返事が欲しいことが子供らしい字で鉛筆で、

その下にはとてもきれいな大人の字で住所がボールペンで書かれています。


読み終えた私が一瞬感じたのは、意外と近場(800kmほど離れていますが…)からの手紙であったことへのがっかり感です。


そして、自分ががっかりとしたことに驚きました。

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