第4話 ナショナルブルー20F「かやかや」浜岡君と2Fアパレル「easy mode」中根さん

カチッ


カチッ


「あれ?」


カチッ


カチッ


「あの〜、良かったらライター使いますか?」


「あ、ありがとうございます。助かります」


カチッ


「ふ〜、ありがとうございます。このライター、2階の服屋さんの方ですか?」


「あ、そうです。オフィスの方の方ですよね」


「はい、かやかやの浜岡と申します」


「あ、かやかやの!私もよく使うんですよ、かやかやの商品」


「あ、そうなんですか!お子様は男の子ですか?女の子ですか?」


「男の子です。2歳になったばかりでかやかやのおもちゃでよく遊んでます」


「いや〜嬉しいな、砂漠でコンタクトレンズ見つけた時の気分です。仕事しながらの育児は大変なんじゃないですか?」


「そうですね〜。でも運良く保育園も見つかりましたし、父母も育児に協力的なんでなんとかやってます」


「……そうですか。あ、名刺お渡ししておきます。商品の不具合などがあれば直接対応しますので」


「ありがとうございます。私はeasy modeの中根と言います」


「中根さん、よろしくお願いします。いつもこの喫煙所にはお一人で?」


「そうですね。うちの店喫煙者が少ないですし、女性同士の会話って疲れちゃうんで、本当に気分転換に1人で来る事が多いです」


「なるほど、それは失礼しました。せっかくの時間を邪魔してしまいましたね。目の上のたんこぶとは僕の事です」


「いえいえ!普段も女性の方相手に接客する事が多いですし、男性と話すと新鮮で楽しいです。」


「…ありがとうございます。すいません、またライター借りてもいいですか?」


「あ、はい」


カチッ


「ふ〜。ありがとうございます。僕も昔居酒屋でバイトしてたんですけど、接客って大変ですよね。精神的にやられる」


「そうなんですよね〜。接客は嫌いじゃないんですけど、もやもやはなかなか解消されないんですよね〜」


「発散方法とかあるんですか?」


「お酒です!母乳あげてた時は飲めなかったですが、最近は乳離れしたので復活しました」


「はははっ、いいですね。近くに昼からやってる焼き鳥の美味い飲み屋があるんですよ。良ければ近いうちどうですか?」


「焼き鳥!食べたい!!…でも子持ち誘うとか凄いですね?」


「ははっ。いやこれもなにかの縁かなと」


「…私シングルだって言いましたっけ?」


「いえ、聞くのもどうかと思いましたし。会話の中にご主人の事が一切出てこなかったのでそうなのかなと」


「半分カマかけられた感じですか?」


「ははっ。正直に言えばそうかもです。違かったら空気の抜けた風船みたいにヨボヨボになるだけだなと」


「…いいですよ。割り勘でいいなら行きます!」


「はい、え?!……解りました。是非行きましょう!」


「はい!焼き鳥焼き鳥〜」


「では連絡先聞いてもいいですか?日程も合わせたいですし、あ、休憩時間が!」


「さっき貰った名刺アドレスににメールしますよ」


「ありがとうございます!必ず行きましょう!」


「はい!」



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