Step5-3
上本くんの言葉はどれも真っ直ぐで、私の心を射ぬいた。
桃色に染まっているであろう頬の熱が消えない。
こんな嬉しい言葉のオンパレード……。
私はどんな反応をするべきなのか。
目を泳がせていると、上本くんと目があった。
「ごめん。気持ち悪いよね」
上本くんは眉をハの字にして苦笑いをする。
そんな上本くんを見て、私は……、私は……。
「気持ち悪くなんかない。……むしろ『よし』です」
「……なぜ、今古典なの?」
あし、わろし、よろし、よし。
古典の形容詞だ。
動揺を悟られまいと、昔の言葉を使う。
しかし、上本くんは古典の単語を覚えていたので、隠した意味が無かったようだ。
上本くんの気持ちに応えなければならないという義務感と心の高揚に頭がおかしくなる。
「川中さん、……僕と付き合わない?」
熱を帯びた上本くんの黒い瞳に吸い込まれそうだ。
こんなにも真摯に向き合ってくれているのだ。私も自分の気持ちに気づいていないフリは止めよう。認めよう。
「……私で良ければ、宜しくお願い致します……」
「やったー!」
私の返事に上本くんはガッツポーズをした。そして、太陽みたいな笑顔を浮かべていた。
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