第4話 お金が無いなら働くしか無いよね

「雄二君、一緒に服を買いに行こう」


「誰の?」


「雄二君の」


ある日、学校帰りに喫茶店に寄ったとき。

俺は彼女の優子にそんなことを言われた。


デートで濃い緑色のシャツ、黒のズボンといういでたちで臨むことが多いのだが、ある日そんなことを言われたのだ。


……ひょっとして、ださいのか?


ちょっと不安になった。

正直、服装はみすぼらしくなければ良いと、これまであまり買いそろえてこなかったし。

お洒落に気をつかえる環境でもなかったしな。


外野が煩かったからね。


見せる相手も居なかったしな。

彼女どころか友達も居ないから。


……服、か。


ちょっと、思うところがある。

色々あって、俺の環境はだいぶ変わった。


父さんとも向き合えるようになったし、学校も、前よりは居心地が良くなった。

(後者はなぜなのか良くわからないんだけど)


そして服。


……今まで手を出さなかったけど。

これはいい機会かもしれない。


ホント、優子が来てくれて、俺の世界がどんどん変わる。


なんだけど……


「ゴメン、優子。服を買いに行くときって、予算どのくらい見ればいいのかな?」


恥ずかしい話だが。

普段着てる服は、安売りのやつを数着着回しているだけだったので。

今まで。


俺は、あまり一般的な「服を買いに行く」場合の予算ってやつが分からないんだ。


「……まあ、3万円くらい見ておけばいいんじゃないかな?」


腕を組んでちょっと思案して、優子は言った。


……3万円!!



★★★



デートのとき、私服がだいたい同じなんです。

雄二君。

いつも濃い緑色の長袖シャツ。あと黒いズボン。

どうも、雄二君の一張羅がそれだから、らしいんですけど。


勿体ないです。


さりげなーく、ボディタッチして、雄二君の体型はよく把握しているんですけど。

骨が太くて、わりによく肉が載ってるんですよね。筋肉。


きっと、半袖とか、ノースリーブ似合うと思うんですよ。

がっしりしてますし。


……思うんですけど。

雄二君が私に「こういう服装がいい」なんて言ってくれないのは、こっちが要求しないからなのもあると思うんですよね。

もちろん、だからといって直接「こういう服を着て欲しいな」なんて言ったら、押し付けがましくて束縛する厄介な女、ってイメージが付いちゃいますから、避けたいですよ。


そこで、一緒に買い物ですよ。


一緒に選んで、そういう一張羅を持ってもらえば、自然とそういう服を着てもらえるという。

ついでに、私の服も選んでもらえば、一石二鳥ですよ。


名案です!

もっと早くに思い付きべきでした!


うへへへ……楽しみです。



★★★



3万円、か……


俺、バイトしてないんだよね。

この間の事件のとき、イリーガルとしての報酬がUGNから現金書留で郵送されてきたけど。


それが、3万円。

命を懸けて戦って、3万円……


でも、一時金ってこんなもんなのかな?

そう思った。


優子も、月の給料、一般的なサラリーマンより少し多いくらいらしいし。

もっとも、住居の費用が万行かないらしく、すごく貯まりやすい環境だ、って言ってたけど。

(電気代、ガス代、水道代コミらしい。すごい至れり尽くせり)

(年2回、ボーナスもあるらしい)


泉先生には「俺は普通の仕事に就きます」なんて言ったけどさ。

UGN、生き残れるなら、職場としては良いのかもしれないなー。

優子と一緒にやるなら、やっていけそうな気もするし。


……話が逸れた。


3万円の一時金。


予算あるじゃん、とお思いの方。

これまでの優子とのデートで、費用はどこから出たとお思いか?


優子の財布?


んなわけないじゃん。


……実のところ「私はお給料貰ってるから、全額出すよ!」なんて言われたんだけど、これだけは「お願い」って言ってはいけない気がしたんだ……


さすがに、奢るのは収入源がお小遣いしかない身では無理なので。

貯金とこのUGNからの一時金を切り崩して出してきたわけですよ。


なので、今、手元に3万円は無かったりする。


……これは、潮時かもしれない。


何の?優子の財布頼み?


違うよ!


そろそろ、バイトを探すべきなのかもしれない、という話!


……一応さ。

ウチの学校、バイト禁止なんだよね。

校則にそう明記されてる。

家計が苦しい等、やむを得ない理由がある場合に限り、バイトを認める、とある。


んだけど。


ジッサイは、小遣い稼ぎにバイトしてるやつウジャウジャいる現状。

ようは、誰も守ってない。

学校側も取り締まると人数が膨大なので、別に校則違反ってこと以外は、道義的に悪いことをしてるわけじゃないし、ということで黙認されてる状況。


俺は、今までは「それでも校則は校則」って言って、バイトをすることは避けてきた。

でも、さすがにそろそろ、そうは言ってられない状況なのかもしれない。


気分は、戦後のヤミ市を利用するかしないかで葛藤する裁判官だ。


……優子にお金を出させることに慣れて、将来ヒモになることだけは避けたい。

姉さんに「でも、それ優子ちゃんが稼いだお金だよね?」って枕詞で言われるのは絶対に辛いはずだ。


「じゃあ、バイトを探さないとな」


……この言葉は、言うしかなかった。



★★★



「えっと」


いきなり、バイトを探すとか言い出した雄二君。

えーと、何で?


「3万円、無いの?」


「無い」


清々しいくらい、きっぱり。


「UGNからの報酬は?」


「使い切った」


だから言ったんですよ!

デート代全額出すって!!


どうせ使わないんですし!!

盗聴器、当分買い替える予定もありませんし!!


私の給料、寝返り防止が主な目的ですから、定年の概念も無いですしね!!


「じゃあ私が」


「それは駄目」


……もう。

またそれですか!!


別に私は雄二君がヒモ状態でも構わないんじゃないかなと最近思うんですけど。

二人で生きて行けるだけのお金、私一人でも稼げますしね。

一生、私の稼ぎで食べさせてあげてもいいんですよ?


「……バイト、校則で禁止なのは知ってるよね?」


「知ってる」


……まぁ、実際は誰も守って無いから意味の無い校則になってるわけなんですけど。

私の場合、色々無茶やってる関係上。


付け込まれる隙になる可能性、あるんですよね……。

二重基準は最低ですが、雄二君だけ問題視して、厳罰だとか。

やりかねない!!


というか、私が連中なら、最終的にそれも選択肢に入れます!!


だからできれば、して欲しくないんですけど。

理由、言えませんよね……。


うーん……


悩んでいると、雄二君。

スマホでバイト情報を検索し始めました。

彼はやる気です。


まずいですね。待ったなしです。


……UGN関係で、何かないかしら?


私も、UGNの端末を操作して、近場で何か無いか探しました。

UGNの仕事なら、学校にバレようもないですし。

存分に働けます。


掲示板に上がってる求人を検索しました。


『オーヴァード用新薬の治験』……却下


『FHセル襲撃後のまぐろ拾い』……却下


……バイト感覚となると、ろくな仕事募集してませんね。

どうしましょう?


ちらりと、彼を見ます。


……うん。

だったらしょうがないですね。



★★★



「同じバイトを私もするから」


そう、優子が言い出して。

二人分の求人があるバイト先を探すことになった。


この時点で、建設現場等、肉体労働系は消えた。

で。


結局、二人で書店の店員をやることになった。


書店の店員。

バイト代が特に安いって評判らしいな。


まぁ、自分としては小遣い銭稼ぐだけなのでどうでもいいけど。

目的は3万円で、最初の説明聞く限り、1か月後のバイト代でそれだけの金額は貰えそうな感じだしな。


書店の店員は実はやることが多い。

売れ残った本の返本作業。

在庫管理。

レジ打ち。

そして、万引き対策。


知ってる人も多いと思うが、書店の本ってのは実は書店のものでは無く。

並んでる時点では出版社のもの。書店は場所を提供しているだけ。

本を出版社からお金を出して買ってきて、店に並べてるわけじゃ無いんだな。


本は、売れた時点で店の商品になり、そこから利益が入ってくる。


それなのに、万引きされるとどうなるか?


……店にお金は一銭も入ってこないのに、店側としては「それが商品になった」扱いになり。

出版社にお金を払わなければならなくなるのだ。


とんでもない話。

だから書店で万引きされると、店が潰れるほどのダメージがあるわけだ。


この店も、二人も店員雇ったの、万引き被害がちょくちょく出始めて、それを恐れてのことらしい。

万引きを放置するより、人を増やした方が被害が少ない、ってわけだ。


で、今日も優子と一緒に働いている。

優子がレジを主に打ち、俺が裏方&在庫管理で仕事を回している。



★★★



書店のバイト、上手く行きました。

何が、と言いますと。


シフトと、お給料の交渉ですね。

雄二君にはナイショでやったんですけどね。


店長さんに


「私の分の給料は要りませんので」


「その代わり、私に払うはずの給料の半分を私の彼氏につけてあげてください」


「シフトは必ず彼と一緒にしてください。その代わり、私たちのシフトに起きた万引きに関しては私が全責任を持ちます」


と、雄二君に席を外してもらって、お願いしました。

書店のバイトは給料安いですからね。こうやって、少しでも底上げしないと、雄二君の労働時間が増えて、勉強したり、デートする時間が減ってしまいます。


最初は「そんな無茶を言わないでくれ」と店長さん、渋りましたが、店長さんをじっと見つめてあげて、店長さんの家族構成を絡めたお話で説得したら、納得してもらえました。


この書店としても有用な提案のはずですよ?

だって、実質1.5人分の給料で、2人店員雇えて、しかもその間の万引きを完全ゼロにできるんですもの。


絶対後悔はさせませんから。



★★★



書店のバイト、色々な本が見れて楽しい。

いや、別に仕事中に立ち読みしているんじゃ無いけどね。


こんな本があるのか、とか。

こんな新刊出たのか、とか。


これはさ、やっぱ書店でしか味わえないよ。

ネットショップじゃ検索しかしないからね。

目的に沿ったものしか目に入らないし。


給料は安いらしいけど、これにして良かった。



この店、店長の趣味なのか。

わりとマニアックな本も多数揃えているのも面白いところで。


中世ヨーロッパの時代に書かれた、変態プレイについての解説本。

そんなものを見つけ、店が終わった後にこっそり中を確認したのは秘密だ。


いや、すごいね。

自分の×××を、自分の●●●に入れるなんて。

とんでもない発想だわ。


世の中には色んな本があるなぁ。



★★★



雄二君の働きぶりは真面目です。

さすが私が見込んだ旦那様ですよ。

絶えず動き回ってますし、何もやることが無くなったら掃除までしてくれています。


……あぁ、なんだか、夫婦共働きって感じで素敵ですね。

(まぁ、私はタダ働きなんですけど。実際は)


レジ打ちの手も捗るってもんです。

このハッキングで鍛えたレジ打ちを見てください。


一度もミスせずに、流れるように打ちます。


あぁ、幸せ……


こんなに楽しくて、雄二君にお金が入る。

言うことなしです。


あとは、万引き犯をどうするか、ですね。

店長さんに「私たちのシフト中は万引きの責任は全部私が持ちます」って言ってしまったんで。

絶対に防がないと。


法律的にはおそらく守る必要のない約束に分類されると思うんですが。

人間、口に出したことは責任を持たないといけませんしね。


この部分は、人として、絶対に守らなければならない約束ですよ。

法律は関係ありません。


来たら絶対に防がないと……



★★★



私の名前は万尾喜代まんびきよ

姉の名前は万尾季夏まんびきか

兄の名前は万尾木佐まんびきさ


私たち。万尾三姉弟。

プロの万引き犯だ。


今はこんな田舎で燻っているが、いつかはロンドンのハ■ッズで万引きを行い、ハ■ッズを潰すのが夢だ。

(夢はでっかく持たないと)


今は町の書店を潰すのがせいぜいだが。

今に見ていろ。


ハ■ッズを潰すため、私たちは日々逃走のための身体づくり、仕事のための身体づくりを行っている。

意識が違うのだ。


この町のすべての書店、スーパーを万引きで潰し、私たちのトロフィーに加えてやる!!


私たちは、現在の攻略対象である書店の前に立ち、頷き合って入店した。



★★★



そいつらが入店してきたとき。

すぐに気づいちゃいました。


あぁ、こいつら、お客様じゃない、って。


だって、本を見ないで客を見てますもん。

正確に言うと客の視線。

本屋に来て本を見ないなんて無いでしょう?


三人組でした。


成人と思しき男女二人と、少女が一人。

三人とも、職業犯罪者によくある、荒んだ目をしていました。


成人してる男女は……それなりに高身長で、あと、すごく太っていました。

100キロは絶対超えていると思います。ほとんどハート様です。服装も髪型もそっくりでした。


少女の方は、背が低かったです。

例えるなら女装したチョ●ボンゲでしょうか?


そんな怪しい三人組が入店。


私は眼鏡を三回触りました。

これが、雄二君……旦那様との合図です。


万引き犯と思しき客が入ってきたら、それで情報を共有しよう、って。


在庫管理をしていた雄二君がこっちに来てくれて、レジを代わってくれました。

こういう仕事は、私の方が向いてますからね。


任せてください。

キチンと仕事はこなしますよ。



★★★



……さて。いつも通り仕事をするとしよう。


私たちはまず、漫画コーナーに行くことにした。


本棚で出来た狭い通路。

そこに、平積みで人気作の単行本が積まれている。


最近ドラマになったもの。最近アニメになったもの。

最近劇場版が公開されたもの。


様々だ。


まずは、ここから。


まずは姉上と兄上が、その体躯で壁となり、店員と他の客の視線を妨害する。

そして、その間で私が漫画の単行本を平積みのやつを1冊ずつ、広く満遍なく盗っていく。

ごっそりやると、盗んだことがすぐにばれるので、分からないように、広く、浅く、盗る。


出来ることならセットになるようにして盗るのがベスト。

セット売りできるしね。


姉上と兄上が動く。

私もベストポジションに陣取った。


さっきまで、レジ打ちしていた丸眼鏡の長髪三つ編みの女店員が、こっちに向かってくる。

どうやら、在庫管理をしている様子。


ヤツが通り過ぎた瞬間が、仕事の開始の合図だ……!


私たちは言葉を交わさずとも、その意思を共有していた。


女店員が私たちの傍を通る。


女店員は、美しい瞳をしていた。とても穏やかで、優しそうな、大人しそうな少女だった。

きっと、素晴らしい育ち方をしたに違いない。

そう、思えた。

目を惹き、私は羨望した。


ひょっとしたら、自分もこんな裏家業の家に生まれなければ、こんな風になれたのかもしれない、と。


私の家は、代々万引きで生計を立てていた。


江戸時代からやっていたそうだ。

戦後は、闇市で命がけで万引きをして食いつないだ。

祖父の言葉だ。


幼いころは、その武勇伝を羨望と共に聞いていたものだが、今は少し違う。

万引きで世界に名を轟かせる。その夢は変わっていない。いないけれども。


ときおり、思うのだ。

生まれる家が違っていたら、違う人生もあったんじゃないのか?と。


くだらない感傷かもしれない。でも、どうしても、そのifを考えてしまう……


……やめよう。今は、仕事の時間だ。


女店員が、通り過ぎる。


視線が、切れた。


……今だ!!


鍛えぬいた、万引き技術で鞄に単行本を詰め込んでいく。

速やかに、流れるように、音もなく………


この技術を身に着けるために、私は毎日トランプの山札を複数並べ、それを崩さずに制限時間内に全て回収する訓練を積んでいる。

ここまで来るのに10年の修行を必要とした。

今更、この道以外どこを歩ける……!?


みるみる、某ダークファンタジー作品の単行本が、既刊1セット分、鞄に詰め込まれ……


「お客様」


いきなりその手が、わし、と掴まれた。


「……ちょっと、事務所に来ていただきましょうか?」


……何故か。

さっきの丸眼鏡の女店員が、背後に居て。

私の仕事をする手を掴んで居たのだ……!!


いつの間に……!?


「詳しいお話はそこで聞きますので」


女店員の丸眼鏡が光を反射し。

彼女の瞳は、見えなかった。



★★★



ああ、臭いですねぇ。

新古書店に盗品卸すために足繁く通っている、万引き野郎のゲロ以下の臭いがプンプンしますわぁ。

小遣いを稼ぐためか、スリルを味わうためか知りませんけど、私たちの愛の城を壊そうとするなんて。

許せないですよこれはぁ。臭いですよ。邪悪の臭いですわぁ。


私は吐き気に耐えながら、万引きーズの背後を何食わぬ顔で通り過ぎました。


そして。

連中の死角になる位置で、こっそり魔眼を出現させます。


そして、エフェクト「帝王の時間」を発動させました。


……周囲の時間の流れをゆっくりにするエフェクトです。

発動時間中は、あまり緊張することもできませんし、これ以外に集中することもできないので、戦闘に応用はできないエフェクトなんですけど。

こういうときには重宝します。


あとは普通に戻って、実行犯の手を押さえるだけです。


連中には、いつの間にか私が引き返してきていて、急に手を掴んできた。

そのように映るはず。


実行してやったら、メチャクチャ驚いてましたね。

まぁ、無理も無いですけど。

まるでワープしてきたみたいに感じただろうと思いますし。



万引き犯どもを警察に引き渡し(ちなみにメチャメチャ暴れました。ハート様2人が)バイトが終わってから、私は雄二君と二人、家路につきます。

途中までは一緒です。

並んで歩きながら。


「もうすぐ給料日だね」


雄二君にとっては、はじめての労働の対価ですね。

何かお祝いしてあげたい気分です。


「……自分で稼ぐってどんな気持ちなのかな」


で、隣を歩く雄二君から返ってきた言葉がこれでした。


……さすが。


感心してしまいましたね。

お金を得て、どう使おう、より。

金を稼ぐ能力を得たと実感する方に関心を持つなんて。


「うーん、そうだね」


私はお金は、チームに配属されて任務をこなすようになってからずっと貰ってるわけですけど。

はじめてお給料をもらったときは……


「やっと、一人前になれた、って思ったよ」


……と。

そこまで自分で言って、ハッとしました。


ATM嫁、ダメじゃん……

そんなことしたら、雄二君、永遠に一人前になれないじゃん……


自分が稼げるから雄二君は最悪ヒモでもいい、なんて思ってましたけど、それ、ダメですよ。

今、気づきました。

お金の問題じゃ無いですね。


お給料の額はどうでもいいんで、とにかくちゃんと稼いで、納税してる人になってもらわないと。

雄二君のためにならないです。


甘やかすだけが愛じゃないですよ。


だから、私は言いました。


「雄二君」


「何?」


私の呼びかけに、彼の視線が私に向きます。


「……これからは財布は別にしよう」


私の言葉に、彼は一瞬沈黙し。

こう、続けたのでした。


「えっと……」


「……何で今、それを言うわけ?」

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