3話 探しにいく。
「ってことがあったんだよ。これっていじめだよね!」リコは語気を強め、むくれながら言う。
「ひどいな、そんなことうちの学校にもあるんだな……。あ、ごちそうさま。今日もおいしかったよ」
私は弁当を空にしてリコにお礼を言う。
「どいたま。なんとかしてあげたいなぁ。でも先輩だしなぁ」
「いや、先輩後輩関係なくね?じゃあ見て見ぬふりする?」
「それはない!!」
「それでこそ我が友よ、リコ」
「急に人格変えるな。でもどうしようかな」リコは悩むそぶりを見せる。
「三人組を見つけるの難しそうだよね。あ、弁当洗いに行くね」私は立ち上がる。リコも自分のを洗う為についてくる。
「そう、それなんだよね。しかも見つけたとしてどうすればいいかわからないんよね。冷静に考えると『いじめやめろ』って急にしかも下級生に言われたところで『なんだこいつ』ってならない?」
「そうだねえ。そもそも確実にいじめって決まってないし」
「いやあれはいじめだって。本を台無しにされて水を顔にかけられるのがいじめじゃなかったら世紀末だよ」
「消毒しなきゃね。その意見は同意だけど、詳細を聞かないとなぜそうなったのかわかんないじゃん? 私たちで勝手に決めつけるのも変だし」
私たちは屋外にある手洗い場に出て、弁当を洗い始める。
「うーん、まあ確かに。じゃ三人組に初めまして、いじめてますかって聞く? いやいや素直に答える訳が……」リコは再度悩んでいる。
「あ、ならミク先輩を見つければいいんじゃない」私はそう提案する。
「え?」
「ハンカチ渡しっぱなしだし、それを返してもらいにいこうよ」
「それいいね。てかスイのプレゼント渡してごめん」
「別にいいよ。ちゃんと使ってくれてるのわかってうれしいし」
「そりゃ形見だし。んで話を聞いてみる?」
「勝手に殺すな。いや、まずは仲良くなってみない?急にいじめられてますかって聞くのはハードル高いよ」
「なるほど。明日にでも探しにいくか。あ、ちゃんとリボンしないと。一年ってばれるなぁ……はあ」リコはため息をつく。
「次見つかったらさすがに怒られそうだもんね。ま、私もいるから気楽にいこうよ」
「あれ、ついてきてくれるの?」
「ついていくってか手伝うつもりだけど」
「めっちゃうれしいけど……いいの?」
「この話聞いてそっか、がんばれは親友じゃないっしょ」
「もしかしたら私たちも標的になるかもよ?」
「んなこた気にしてられっかい。そしたら立ち向かうだけさ」
「かっこよすぎない? 結婚しよ?」
「もうすでに毎日弁当作ってくれるから事実婚でしょ」
「たしかに。あ、そういやミク先輩の本のタイトルさ」リコは最近私たちがはまっているアニメの名前を口にした。
「え、まじ? ぜひお近づきにならなきゃじゃん。はい親友」私はテンションがあがる。
「はやいはやい。でもその話はしたいよね。仲良くなるきっかけにもなりそうだし」
「だねぇ。あ、いいこと思いついた」
「なになに?」
私は提案を口にする。
「うん、いいねぇ」リコもその案に同意する。
「よし、それでいってみよう」
そうして明日の昼、私たちはミク先輩を探しに行くことにした。
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