第5話
ラボスという髭の男について、夜はキャンプをしつつ歩くこと二日で、周囲を高い塀に囲まれた大きな都市に着いた。
…ガーマインに到着するまでに、ラボスには説明が面倒なので、自分は記憶喪失でありどこの誰かすら思い出せない、という作り話をしていた。
気の毒そうな顔で、「……それは大変だな…。…もし良かったらでいいんだけど、丁度荷物持ちを探してたんだ。荷物持ちとしてしばらくの間僕の手伝いをしてくれないか?記憶が戻るまでってことでさ。」
と、ラボスの方から提案された。
この人なら親切そうだし、まだ異世界に来たばかりの俺にとって世話になるのに格好の人物だ。
…一も二もなくその提案に俺は乗ることにした。
「これからよろしくお願いします。ラボスさん。」
「こちらこそよろしくね。ハルト。」
俺達はがっちりと握手を交わした…。
要塞都市ガーマイン。魔王軍側の人間国家に対する侵略を食い止める最前線の基地として、それは存在していた。
…およそ百年ほど前、それまでは統一した意思を持たなかったモンスター達が突如として群れをなし、次々と人間達の居住区を襲い出した。
そのモンスター達の猛攻を防ぐべく、各都市で以前にはなかった堅牢な石造りの防壁が築かれ、そしてモンスター達を撃退すべく、指導者である魔王の居城、その近くに人類の最後の砦となるガーマインが建造されたのだった。
「うわぁ!!ありゃあ凄い!!」
30mはあろうかという、巨大な門をくぐり抜けまず目に映ったのは遥かに離れた大広場、その脇に停泊している巨大な飛行船だった。
「…世界にただ一つだけ存在する飛空挺ホワイト・ラグーンさ。要塞都市ガーマインの切り札って奴だね。」
「…船の側面からは魔導騎士団お得意のマジックバレットが敵に向かって炸裂する。
…最も精度はまだ今一つみたいだけどね。」
なんとなく眉をひそめた感じで、ラボスが俺に説明してくれる。
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