第4話

 「…ダメだよ。こんな所で一人でいるなんて。この辺りはモンスターも手強い奴が多いんだからさ。」髭の男が俺に続ける。


 ……先程スライムのような生物を召喚したモンスターで倒したのはこの男なのか?


「…すみません……。」俺は突然こんなファンタジーな世界に来てしまった為、どう答えて良いのか良くわからない。


 「……取り敢えずこの辺は危険だから街まで僕が送っていこう。僕はラボス。えぇと、君名前は?」


 「…あ、楠春人って言います。」


 髭の男はちょっと考えたかと思うと、「ふぅ~ん。君かなり変わった名前なんだね。わかった。ハルトって呼ぶことにするよ。」とにっこり微笑みかけた。


 俺は取り敢えずこの辺りの地理には疎いよそ者だということを男に告げた。すると男は顎をさすりながら、


 「……じゃあ君はこの辺りの出身じゃないんだね?ふぅ~ん、だからか……。」と得心したといった顔で一つ頷いた。


 「…この辺りはそんなに危険な場所なんですか?」と俺が尋ねると、


 「うん、まぁね。このすぐ近くにある滅びの森って場所から少し行くと凶悪なモンスター達の親玉の居城があるんだよ。」


 「……それって魔王ですか?」何て事だ。本当に馬鹿げているけど俺はどうやら異世界に転生してしまったのか……?元の姿のままで?


 髭の中年は目を丸くして、

 「よく知っているじゃないか。その割にはこの辺が魔王の城の近くと気づかないなんて……。

…まぁ、いいや。とにかくここから徒歩で2日程の所にガーマインというそこそこ大きな街があるからそこまで僕が送っていってあげるよ。さあ、じゃあ南西を目指すことにしよう。そちらに街があるからね。」

 そう言うと前方の街の方向を指差してから歩きだした。俺もその後に遅れて付いて行った…。





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る