第10話 崩壊1

 この頃から感じていた絵も知れぬ違和感。

特に何もいわれていないのに、バンド、仕事場、家庭から批難されているようなうっすらした不安感が私を取り巻いていました。 

当時、自分のホームページがあったのですが、それを更新するのは私の役目でした。大事なイベントの真っ只中だったので毎日更新していたのですが、あるライブが終了した後、携帯の不具合で日記が更新できなくなってしまいました。まあ少しの間ならいいだろうと思い、スタジオ練習に向かうと、ドラムメンバー(何回か交代していて、現在は女性メンバー)から「何であんた日記更新しないの!?」と激しく叱責されました。

「い‥いや、携帯の調子が悪くて‥」と理由を伝えましたがバンド内の険悪な雰囲気は残ったまま。

 私は家に帰って、DVDで映画を見ていた妻を尻目に、パソコンですぐに日記の更新をしました。妻は、普段と様子の違う私を見て、少し不思議がっていたようでした。

どうやら、育児に時間を取られ、ギターの練習量がめっきり減り、バンド内で反感を買っていたようでした。(事実が定かではありませんが、私にはそう受け取られました)

急いでギター練習に励むものの、0歳の息子が容赦なく遊んでほしいとちょっかいを出してくる。できない!何もできない!しかし0歳の赤ん坊のせいにするわけにはいかない!全部自分のせいだ!この状況を作り出したのも!でも何ができる!

冷静な判断力がどんどん欠落していく。この夜、私の中で何かがプツリと切れるような音を感じた。

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