第10話
その時だった。横から、「……待てーーーーい!!!」と何やら小柄な、青い髪をお団子に束ねた赤いワンピース姿の幼女(?)が飛び出してきた。
「…な~~んだ、このクソガキ?邪魔だ!!退いてろ!!」と灰色のバンダナ姿の一団のリーダー格、とおぼしき先程こちらに鋭い視線を送った小柄な男が邪険にしっ、しっ、という感じで右手を振った。
「…だ~~れがガキじゃ~~い!!俺様を舐めてんじゃね~~!!!」と幼女(?)が叫んだかと思うと、右手に持った何か細い糸のようなものを引っ張った。
……ブォーーン!!、という音を立てながら横の雑木林からデッカイ丸太が男目掛けて襲い掛かる。
ドッカーーン!!!とものすごい音がしてリーダー格の男は遥か彼方に吹き飛ばされ、そして星になった……。
…………………………………………………。
たっぷり一分間は黙った後、ぞろぞろいた盗賊団の連中が、「……お、お頭っっ~~~~!!!!」と情けない悲鳴をあげたか、と思うと一斉にリーダー格が飛ばされていった方角目掛けてダダダダダッッッッ!!と走って行く。
「………なんだあいつら。」思わず呟く俺。
「……ふん!口ほどにもないわ!!」と自分が撃退したわけでもないのにドヤるリル。
「……ふーっ。」やれやれとばかりに肩を竦めるシン。その横でマリスとマックスがほっと胸を撫で下ろす。
「おい!!お前ら!!人に助けて貰ってありがとう、の一言もないのかよ~~~!!」と幼女(?)がプンスカ、プンスカむくれて抗議をする。
その言葉にマリスがいち早く反応して、
「…どうも失礼いたしました…。助けて貰いどうもありがとうございました…。」と深々と頭を下げる。
「ほら!!お前らも"ありがとうございま
す"は!?」顔を真っ赤にしながら幼女(?)が催促してくる。
「……あぁ、ありがとう……。」
「……ふんっ!!わし一人でもなんとかなったんじゃがなぁ~!!まぁ、よいわ。あ・り・が・と・う!!」
「……どうもかたじけない。感謝申し上げる。」
「あっざっ~すっっ!!」
マリス以外の俺を含めて4人が口々に感謝の言葉を口にする。
すると、幼女(?)は、
「最初っからそういう謙虚さが欲しかったね~~~!!!」と、満更でもない顔でニヤリと微笑んだ。
「俺様はトラップ使いのウェンディ!!よろしく!!」と握手を求めてくる幼女(?)。
「……わしはリル。こっちの物静かなのがマリス。こっちの厳ついのがシン。そこのへたれがマックス。こやつは一応勇者で名をカイトと言う。」
リルが一同をウェンディに向かって紹介し、そしてがっちりと握手を交わした。
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