第7話
……それから俺は数日の間教師役のマリスからこの世界の概要、魔王軍と人間たちとの今に至るまでの争いの歴史、ついでに魔術についての基礎的な講義を受けることとなった。
泉から帰った後、武装した姿から再び白ローブ姿に戻ったマリスが俺に質問する。
「……では、勇者様、こちらの種族はなんという種族でどんな特徴をもっているでしょうか?」
マリスのもつ緑がかった石板には頭が豚でずんぐりした二足歩行の豚人間が描かれている。
(ちなみにマリスの口調は俺と二人きりの時にしかタメ口にはならないようだ。この女猫被ってやがる…。)
「バルグ。すごい力持ちでただ、その反面魔術の類いは全く使えない。」
「…すごい。正解です…。」パンパカパーン、という感じでマリスの頭上の小さな青のくす玉的な物体から赤い布切れが盛大に舞う。
先程から俺が正解するたんびにくす玉が割れる。…何このシステム。すごいおちょくられてる感ぱないんですけど。
「…えぇと、次は…魔王と人間の争いは一体どうして始まったのでしょうか?」
……どうもこの魔導騎士団には召喚した勇者用の教材みたいなものがあるらしく、さっきからそれを片手に逐一確認しながらマリスは俺に質問しているのだが…。
最初は俺も「もうお互い面倒だからそれ貸して!自習するから!!」とか言ってみたりしたのだけど、
「…いけません…!これは今の勇者様が全部見てしまうといたずらに混乱を来す恐れがあるのです…。どうか、ご承知を……。」と頑なに拒まれてしまったのだ。
……一体どう言うことなのか訳がわからない。
「…勇者様…?勇者様~…!?聞こえてますか~?今は大事なお勉強のお時間ですよ~~!!」
プックリと頬を膨らませてプンプン状態のマリス。
(このぶりっ子根暗魔導士めっ!!萌えてなんかやんないんだかんね!!)そう思いながら、
「…はいはい、聞こえてますよ~~……。」
「はい、は一回…!」マリスがすかさず突っ込む。
「…えぇ~と、確か500年だか前にそれまで纏まりがなかったモンスター達が魔王の出現によって一致団結してジャイナ大陸中の人間国家に片っ端から喧嘩を売ってきたから、だったっけ?」
パンパカパーン!くす玉が割れる。
「正~解!」にっこりと微笑むマリス。いつも表情筋が死んでいるだけになんだかとってもかわゆく見える。落ち着けカイト、こいつは単なるぶりっ子根暗であって決して可愛い少女なんかではないっっっ!!!(…おそらく。)
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