第290話
「つまらぬなぁ……この程度で死ぬとはな。そう思わんか?」
覇鬼は倒れた村正を見下ろしながらそう言ったが、すぐにニヤリと不敵な笑みを浮かべて言葉を続けた。徐々に込み上げてくる笑いで肩が揺れる中、そんな覇鬼の頭上から攻撃を仕掛ける存在が居た。
「まぁ、もう聞こえぬか……」
「――
振るわれた剣の衝撃は、覇鬼の視界を砂埃と風圧で覆い尽くした。だがその攻撃は当たっておらず、回避した覇鬼は首の骨を鳴らしながら目を細めて口を開く。
「威力はあるが……斬撃にしては速度は無いな。その程度では、貴様は世に攻撃を当てる事すら不可能だろう。なぁ、そう思わんか?蒼鬼よ」
「はぁ、はぁ、はぁ……私の攻撃が通用しない事は、十分に理解しているつもりだ。しかしだ、覇鬼様……貴方様を倒す力は無くとも、隙を作る事だけは出来る」
「ほぉ?突いた所で、貴様が世を倒す事は出来ないだろうがな」
「一筋縄でいかない事も織り込み済みだ!」
「私の剣が届かなくても別に構わない。私はただの――」
「??」
「――囮だ」
そう告げた蒼鬼に視線を向けていた覇鬼は、再び頭上から攻め込んで来た存在に気付く事が遅れてしまったのだろう。回避ではなく、防御という選択肢を取った覇鬼は歯を見せる程の笑みを浮かべながら言った。
「クハハハハハハ、面白い奴等ではないか。世に攻撃を通そうとするとはな」
「(こいつ、刃が通らないっス)」「(氷の槍が砕かれた!?)」
咄嗟に距離を取った事で、覇鬼は目の前に現れた存在を見て口角を上げる。
「ハヤテと刹那か……強くなったではないか、貴様等」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます