第270話

 「纏い……――風刃・鎌鼬」


 竜巻に包まれた状態から刀で振り払ったハヤテ。そんなハヤテの姿を見た瞬間、刹鬼は内側から込み上げる高揚感によって笑みを浮かべていた。

 

 「クックックック、クハハハ……クハハハハハハハ、最高だなぁテメェ。それだけの力を隠してやがったのかぁ?クハハ、良いぜぇ!その力、正面から叩き潰してやるよぉ!!!」

 「……風よ、我が刃となりて敵を斬り裂け」

 

 妖力を上昇させた刹鬼に対し、動揺する事なくハヤテは目を細めて低い体勢となった。囁くように呟かれる言葉に合わせ、両腕から伸びている刃に妖力を研ぎ澄ます。

 そんなハヤテに対し、刹鬼は両手を掌底の形にして合わせ、妖力を中心に集めていく。徐々に球体となっていく妖力の塊は、放たれれば凄まじい威力だという事は確実だろう。


 「全てを灰燼と成せ!我が拳は何者にも屈せず、何者にも負けず、我が覇道の前に敵は無し、邪魔者は全て排除し、我が生涯に敗北という二文字はない」


 塊を両手に移した刹鬼は、ニヤリと笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ。その様子を見据えていたハヤテは、地面を蹴って刹鬼との距離を一気に詰め始めた。

 距離を詰めたハヤテに対して、刹鬼は拳に集束された妖力の塊を解き放った。


 「妖術――紅琥連砲拳こうこれんほうけん!!!」

 「仙風せんぷう一迅いちじん

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