第209話

 ――鬼組幹部が一人、妖狐の杏嘉。


 彼女が鬼組に入った後、数十年後に神社の守り神として奉られる事が多くなっていた。人々を救う事もあった鬼組は、一部では正義の味方と称される事も少なくはなかった事も理由の一つだっただろう。

 その一部が発した噂話は拡大して行き、やがて知らぬ者は居ないという程の時期があった。誰もが鬼組を恐れ、敬い、畏敬の念を抱かせる程になった時である。


 当時、神社に奉られるようになっていた杏嘉はある進化を遂げていた。それは、地水火風を統べる狐を召喚する事が出来るようになっていたのである。

 赤狐せっこ緑狐りょくこ水狐すいこ土狐どっこ……それぞれに名付けをした杏嘉は、その四匹の狐を従える事が出来るようになっていた。


 その全ての狐と共に戦えば、杏嘉の戦闘能力は鬼組で上位と言えるだろう。


 「――ここは任せるぞ、赤狐」

 『仰せのままに。杏嘉様!』


 背中を預けた杏嘉は地面を蹴り、術を操る桜鬼との距離を勢い良く詰めたのである。

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