第206話
「……」
――ザザ……ザザ……ザザ……。
視界が微かに揺れる。あの斧を持った人間……いや、人間なのだろうか。あいつと戦った瞬間、正確にはあいつと向き合った瞬間だ。脳裏に何かが浮かび、オレの中にある何かが電撃を走らせた感覚がした。
どうしてそうなったのかは分からない。だが、あいつが言っていた「憧れた存在」とやらが関係しているのかもしれない。この脳裏に浮かんだ物が何なのか、それを調べる必要がある。
「……それにしてもあいつ……戦い方が乱暴なのとは裏腹だった。狙いも正確ではあったし、乱暴な戦い方にかかわらずブレもなかった。大した奴だったな」
――ッッ!!!
グラリと視界が揺れ、再び同じ感覚が襲って来た。この脳裏を巡るような感覚と同時に、オレの全身を巡るように走る電撃は一体なんだ。度々襲って来るこの頭痛も、目覚めた時からずっとだ。
「あれから一年、オレは一体……何者なんだろうな」
そう呟いたオレは、一年前の事を思い出したのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます