第205話
違和感しか感じられなかった戦闘を終えた狂鬼。そんな狂鬼との戦闘を終えた彼は、木々を伝って何処かへ移動してしまった。取り残された狂鬼は、溜息混じりに座り込んで目を細める。
「あいつ、一体何者なんだ」
容姿、戦闘技術、武器、声……その全てを直接見て、聞いて、体感した狂鬼は記憶の中に居る人物と重ねてしまうのだろう。ただ似てるだけならそこまで考える事はしなかった。
だがしかし、疑問を浮かべてしまう程に奇妙な体験となってしまっている。それ程に彼の存在は、全てが狂鬼の記憶に居る人物と合致しているのだ。それを理解し、否定出来ない狂鬼は舌打ちをした。
「チッ……あー!訳が分からねぇ!!」
そう愚痴を零した狂鬼は、その場で倒れ込んで暗雲に覆われている空を見据えた。考えても、思い返しても、何度繰り返しても狂鬼の頭の中で同じ答えしか出て来なかった。
やがて諦めたのか、狂鬼は起き上がって深く息を吐いて呟いたのである。
「真実を確かめる必要があるよな。……あいつ等に、鬼組の連中に言うのは……確証が持ててからだ」
狂鬼はそう呟くと、彼が向かった方向へと移動した。見えなくなってしまっている彼の背中を遅れて追うように。
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