第十五夜「仮面」
第191話
黒装束で身を包み、顔が隠れる程に深く被った謎の人物。背丈や体格から見れば、男か女かという判断は出来る。だがしかし、仮面の所為で顔を見る事が出来ない。
そして極め付けは、その存在からは気配が全くしない事だ。どんな存在であれ、その場に居ればどれだけ弱者であってもそこに居るという事が皮膚感覚で理解出来る。
だが、目の前に居る存在からはそれすら感じない。人間や妖怪が持つ妖力を感じる事が出来ない所為で、本当はその場に居ないのかと錯覚する程だ。
「くっ、このっ!」
「……」
手斧を投げた狂鬼に対し、首を傾ける最小限の行動で回避した。追撃に距離を詰めても、容易く全ての攻撃を防がれてしまう。鍔迫り合いとなっても、狂鬼の力を押し退ける事が出来る程の力を有している。
そんな存在と対峙する狂鬼は、目の前の相手に集中するように目を細めた。妖力が上昇し、オーラとして可視化出来る程になった瞬間である。勢い良く地面を蹴った狂鬼は、瞬く間に離れていた距離を詰めた。
接近したのと同時に大斧を出現させた狂鬼は、躊躇なく力一杯にそれを振り下ろしたのである。狂鬼の視界は、砂埃と衝撃によって舞い上がった風圧に包まれた。
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