第176話
氷柱の中に囚われていた魔鬼に狙いを定め、刹那は当たれば命を落とすであろう規模の氷槍を生成した。それを放って氷柱が崩れる様子を眺めていたが、刹那は警戒するように目を細めている。
まるで直撃したにもかかわらず、相手が生きていると考えているかのように。
「……」
刹那の予想は的中していた。崩れた氷柱の場所に気配を探ったが、その場所から魔鬼の気配は全くしない。それを理解した刹那は、すぐに周囲へと気配を探るように索敵範囲を拡大させる。
「(隠れているのであれば、私なら森へ移動して背後を取る。ですが、陰陽堂にも妖力を感じる事が出来る人間が居る以上、背後から私を仕留めるのは難しいはず。なら、どうやれば彼女が私に一矢報いるか……)」
気配を探り続けながら、周囲を警戒する刹那は思案を巡らせる。右から左へ、左から右へと動かされる視線には微かに殺気が包まれている程に鋭い物となっている。
周囲を探り続ける刹那に反応しているのか、妖力が空気に影響して徐々に足元を凍らせていく。その様子を伺っていた魔鬼は、遠方から肩を竦めながら溜息混じりに告げる。
「――全く、あれじゃ迂闊に近付けないわね。仕方ないから、このカードも切る事にしようかしら」
魔鬼は二本指を立てると、足元に六角形の方陣が展開された。その方陣が展開されたのを確認した魔鬼は、中空に手を差し出して言葉を続けたのである。
「往きなさい。地帝・
その言葉に応えるようにして、魔鬼の足元から数匹の虎が召喚された。
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