第153話
――ボクが幹部になる少し前。
鬼組の中で実力差を感じていたボクは、自分の実力が伸び悩んでいる事で唸っていた。喉を鳴らしつつ、自分自身がどうすれば強くなれるか、その為にはどうすれば良いのかを考えていた。
数日後には鬼組で会議が行われ、誰を新しく幹部にするかを選定する日がやってくる。ボクが選ばれる事は無いとは思うが、それでも自分と鬼組の為にも強くなっておきたい。
「……むぅ」
こんな時、鬼組総大将である焔が居てくれれば、強くなる方法を聞く事が出来たのに。そう考えてしまいそうになり、ボクはハッとして首を左右に振って邪念を振り払う。
もうあの人は居ないのだから、いつまでも甘える訳にはいかない。しかし、今までの日々を思い返せば、胸に大きい穴が空いてしまった感覚がボクを揺るがしている。
味気ない。つまらない。退屈だ。そんな感情を右往左往しながら、ボクは今を生きてしまっている。でも、強くなりたいというのは本心だ。鬼組に、この場所をくれた焔に恩返しをする為には必要不可欠だから――。
過去を振り返るのは、これが最後だ。もしかしたら、この力を使えばボクはしばらく動けなくなるかもしれない。けれど、目の前の敵を倒す為なら……どんな事をしてでもやり遂げる。
ボクはただの猫じゃない。鬼組の魅夜なのだから!
「――スゥ…………ッッ!!!!」
そしてボクは、蒼白に染まるオーラに包まれた。
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