第七夜「黒騎士・戯鬼」

第90話

 ――時は遡り、約数百年前。


 焔鬼が魔境で暮らし、前黒騎士のメンバーだった頃。当時、黒騎士だった「妄鬼」と「蘭鬼」は、焔鬼の指示によって傀儡くぐつを作っていた。

 その傀儡は、当時の黒騎士達の血液を集め、黒騎士よりも忠実な黒騎士へとなった。これで黒騎士の戦力は大幅に上昇し、黒騎士達は安寧の時を過ごせると思っていた。

 

 しかし、現実はそう上手くはいかなかった。


 作り上げた傀儡は制御を失い、魔境を壊滅寸前まで破壊し尽くしたのだ。所謂いわゆる、暴走状態となったのである。

 その暴走は黒騎士達によって鎮静化ちんせいかされたが、被害はとても大きいものとなった。そして鎮静化された傀儡は、二度とこんな事が起きないようにと封印された。

 そしてその封印している事は、黒騎士達の中で管理するようになった。だがいつか封印が解除されるという可能性を危惧きぐした当時の黒騎士達は、定期的に黒騎士の誰かが封印されているかの確認をする事が決定されたのである。


 ――そして時を経て、再び焔鬼が黒騎士を束ねた時にそれは起こった。


 いや、正確には「起こされた」というべきだろう。新たに黒騎士となった「刹鬼」「龍鬼」「魔鬼」「桜鬼」は、その封印を解除したのである。

 解き放たれた際の暴走を危惧していたが。しかし暴走は起こらず、変わりに意志の疎通が出来るようになっていた。言葉を発するようになったその傀儡は、新たに黒騎士に加わり、自力解除式の護符が貼り付ける事を条件に忠誠を誓った。

 

 そして今、その黒騎士となった傀儡が本格的に戦闘を開始されようとしていた。


 その傀儡の名は「戯鬼ぎき」――黒騎士の中で、最も恐れられる兵器の名である。


 「ワタシを倒せるかナ、黒騎士の狂鬼」

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