第4話 その身の上に何があったのかを推理【第2回目】

 ネパールには「腎臓村」と呼ばれる村があるとか。そして、そこの住人の多くが、腎臓が半分(1つ)だけの状態だといわれている。これは貧困という環境が村人たちに、腎臓の摘出(売却)という過酷な道を歩ませているのである。通常はインドに連れていかれて、同国で摘出手術を受けるらしい。そして大切な臓器を売却しても、手に入るのは端金だとか。


 国は違うが、その昔、アメリカで入院手術を受けた日本人が、本人の知らぬ間に腎臓を摘出された事件があったという。そしてインドでは、妻の結婚持参金に不満を持っていた夫が、妻が腹痛で入院手術を受けた際に、本人に無断で腎臓の摘出をさせた事件があったとか。


 南埜さんの失踪事件は、「腎臓摘出」の可能性はなかろうか。


 外国人をターゲットにすれば後々何かと面倒になる可能性があるものの、闇臓器業者がクライアントから良質の腎臓を求められていたとすれば…。


 生活環境の良い先進国の若い女性がターゲットとして選定中だったかもしれない。


 謎の電話の「ああ、苦しい。……悔しい……」という台詞、強引な解釈だが、腎臓の摘出手術という状況とどこかマッチしないだろうか。


 通常は、腎臓がひとつだけでも人間は生きていけるらしい。しかし手術にミスがあるか、あるいは未熟のオペであれば感染症等が発生するかもしれない。つまり最終的には死に至る可能性だ。


 例え手術そのものに問題はなかったとしても、『このまま生かしておいても後で面倒なことになる…』という考えがあったのかもしれない。あるいは腎臓を二つとも摘出したか…。


 そのように考えれば、南埜さんの失踪は性的目的ではなく、臓器目的の誘拐だった可能性がある。もしくは誘拐という形ではなく、何らかの事情で病院を利用せざるえなくなり、利用した病院が運悪く悪徳病院だった可能性も。


 これを読まれているあなたはどう考えられますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る