第3話 その身の上に何があったのかを推理【第1回目】

 南埜さんの失踪の原因は何であろうか。思いつくのは、①陵辱(あるいは人身売買)目的の拉致、②金銭目的の殺害である。


 ここで鍵となるのは、失踪後に日本の自宅へとかかってきたMさんからの電話…これが本当に南埜さんからだったのか否かが、推理の分かれ目となる。もっとも、いまとなっては確認することは不可能であるが。


 もし本人だとした場合、②の説は脱落することになる。金銭目的で殺害されていたとすれば、死人が電話をかけるはずがない。


 確率的には①の説の方が高そうな気がする。


 4カ月近くにわたって何処かに監禁され、壮絶な目に遭わされて、何らかのチャンスで実家に電話することができた…ほんの少しの間だけ。


 電話をしているところを発見されたのか、あるいは国際電話の接続状態が悪かったのか、はたまた死の直前でそれ以上話すことができなかったのか、それは想像の域を超えることができない。


 余談であるが、ネパールでは組織的な人身売買が横行しており、インドの娼館に売り飛ばされる少女が後を絶たないとか。

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