第2話 アフガニスタン国軍による捜索開始

 1963年5月、スウェーデン外務局官房のレイフ・ベルフラーゲはアメリカ大使J・グラハム・パーソンズから閲覧限定の手紙を受け取った。


 そこには、グンネル・グメンソンの安否について、地方部族に捕らわれ、裕福な部族長カラ・ハンの義理の娘として生きているかもしれない…と書かれていた。更には男児を出産している可能性についても言及されていた。


 この情報源は秘密裏にキリスト教に改宗した(隠れキリシタン)パシュトン人であった。この人物は兵役期間中においてアメリカ人僧侶と過ごしているときに情報を入手したということである。この人物については外交書簡上「ジョー」という名称で表現されていた。


 パシュトン人の情報によれば、メイマナでウィナントは殺害され、グメンソンは部族長に人身売買され、しかもこのことはメイマナでは周知のことであったという。


 この地区では大衆は部族長に忠誠を誓っており、州知事は買収されていた。


 アメリカ人僧侶からの要請により「ジョー」は玩具商人という偽装でメイマナに探索の足を伸ばした。


 カラ・ハンの夏期宿営キャンプに立ち入ると、そこでヨーロッパ人の特徴を有するブロンドの少年と遭遇した。ジョーはこの少年の母親とコンタクトを試みようとしたが失敗し、宿営地から追い出されることになった。


 この重大な情報を知ったスウェーデン外務局とディック・ハイシェンス・ベルグスローム大使はヘリコプターによる救出作戦について討議をおこなった。


 6月、アフガニスタン国王ザーヒル・シャーは、175名のエリート兵で編成した救出部隊を派遣した。

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