最終章 偽りの幸せ

「勇者よ、もう一度願いを叶えてあげましょう。」

「それは…」

その願いを聞いた妖精は驚きを隠せなかった。

「本当にそれで…後悔しないのですか?」

エクステラは頷いた。

「では…」




「ごめん!イル君、心配させちゃった?」

エクステラはイルマの元へ走ってきた。

「テラさんが無事なら僕も心配したかいがありました。」

そこに有間と未離、エクスバースがやってきた。

「エクステラ、その選択でよかったんだな。」

エクステラは微笑み頷いた。

「じゃあ、帰るぞ。」

3人はエクステラを置いて帰っていった。


「なぁ、有間。本当に置いていって良かったのか?私は断じて寂しい訳では無いが…。」

「そういうことじゃない。」

「創造神様、お待ちしていました。」

そこには妖精とエクステラがいた。

「な、エクステラ!ここに残るんじゃ…」

「あれはあっちの私。私にはどっちかの幸せなんて選べない。だから、願いを叶えてもらったの。どっちの幸せも考えて。別に私が2人に増えた訳じゃなくて、こっちの世界には理想の私がいるだけ。何も偽らなくてもいい自分。」

「気づいたのか。真実に…。」

「うん、ごめんね。でも、本当にありがとう。少なくとも私は幸せになれたよ。」

「なら、あいつの理想も無駄にはならないって訳か。」

「あのな、有間とエクステラが何を話しているのか、さっぱり分からないのだが。」

「エクスバースはこの世界に何かを感じなかったのか?例えば、依存すべき何かを模したものとか…な。」

「…!お、おい、まさか…。」

「ああ、そのまさかだ。」

「お兄ちゃん!そろそろ帰ろ。私、もう振り返りたくないから。」

「そうだな。」

そして、この世界の異変は去った。

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