第7章 魔王神の降臨
「ワッハッハ!ただいまー!おかえりー!いえーい!」
施設の中で声が響き渡る。
「なにー、みんな迎えてくれないのー、ワタシカナシイヨー」
沈黙が広がる。
「ふーん…さてはワタシのためのサプライズ?それともー、かくれんぼ?みぃんなみつけちゃうからね!」
少し進むと何やら話し声が聞こえた。
「ふっふーん、ワタシから逃げられないよ!バレバレなんだから!」
バンッ!と扉を開けるとそこにはラウラとレイと…知らない人がいた。
「みんな何してるのー?」
「あっ、マールちゃん!大変なの、エクステラお姉ちゃんが…」
「え、エクステラ…」
「あっ、そっか、マールちゃんは知らなかったね。エクステラお姉ちゃんが来てること。」
「…エクステラ…」
「えっ、ねぇ、ラウラさん?これって言わなかった方が良かったのかな?」
「大丈夫よ。それより…」
ベッドでエクステラは目覚めた。
「みんなおはよ。あと心配させてごめん。」
「…エクステラ…」
「あれ?魔王ちゃん…なの?」
マールは拳を握って震えていた。
「あ、あれ?もしかして魔王ちゃんにも心配させちゃったか、なっ!?」
その瞬間、マールはエクステラに飛びついた。
「うわぁーん!エクステラ!エクステラだ!エクステラがいなくなって寂しかったんだから!みんな真剣な顔で相手してくれないから!」
マールは泣きながらエクステラに抱きついた。
「大丈夫だよ。でも、長い間よく我慢できたね。偉いよ。私、魔王ちゃんとお友達になるって約束したのにすぐ帰ったから…ごめんね。」
マールは顔を上げ、笑顔で言った。
「平気、ワタシは立派な大人さんだからわがまま言わないもん。」
周りのみんなは空気を読んで、部屋から出ていった。
「ふふっ、大人って言っても体は子供でしょ。」
「体がずっと子供なのはエクステラも知ってるでしょ!」
マールは幼い頃魔力源として固定されるために体の成長を止められていた。
「へー、もし大人だったら私と遊べないよね。」
「えっ…、うーんとね、ワタシまだ子供だからね。ね、だから遊んでよー」
「ふふ、冗談だよ。魔王ちゃんは可愛いね。」
「もう魔王じゃないからそう呼ばないで!マールって呼んで!」
「じゃ、マールちゃん!何して遊ぶの?」
「遊びの前にお仕事があるの。」
「じゃあ、お仕事の後に遊んであげるから頑張ってね。」
「エクステラも行くの!」
「え?」
エクステラがマールに着いていくと妖精の泉にたどり着いた。
「妖精さん!エクステラも連れてきたよ。」
「分かっていますよ。勇者よ。今この世界は再び危機に陥っています。話を聞いてくださいますか?」
「うん、もちろん!」
「では、マールよ。勇者に話してください。」
「わかった!ね、エクステラ、何でワタシが魔王になったのか…それはね、何も無かったワタシに目的を教えてくれたの。魔王神ってゆーのが。」
「魔王神…」
「ああ、そうだ。」
声のした方向を見ると有間がいた。
「アレは全部自分の手中になければいけないと考えてるやつだ。手段を間違えただけの正義…だな。」
「お兄ちゃんはその人を知っているの?」
「それはお前が見つけ出すもの。答え合わせはそれからだ。」
「さすがに意地悪すぎない、あの人。ね、エクステラ♪」
「お兄ちゃんはあれでいいの。あれでも私達にとっても最善のことを伝えているから。うん、恋って言うよりもね、私にとっては憧れみたいな感じ。だって、私にはもう恋心なんて………あはは、何言ってるんだろ私…。」
ーそう、もう私には分かってる。どれだけお兄ちゃんに愛があろうと私達には届かない。ー
エクステラは思いふけていた。自分と兄の関係を。決して想ってはいけない禁忌を。
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