第2章 不思議な研究者と新たな体

イルマはエクステラが身代わりになったことを後悔し続けていた。

「お姉ちゃん、本当に死んじゃったの?」

「いえ、おそらく捕まっているかと。警戒もしていないあの場で消すことなど容易いはず。」

「外の空気を吸ってくる。」

イルマはそう言い外へ出た。


「なんで、テラさんは…」

僕は後悔感でいっぱいだった。その時、テラさんが通りかかるのが見えた。間違いない、本当にテラさんだ。そしてその姿を追いかけて行った。



「失策だった…。土地勘もないこの世界で1人放り出されるなんて…。」

エクスバースは1人悩んでいた。

「テラさん!」

その時、男の声が聞こえた。

「無事だったんですね。」

「はぁ…人違いだ。よく見てみろ、この魔法的な世界でこんな科学的な椅子に座りながら移動するやつなんているのか?」


「そう…ですね。」

「それより私に似たやつ見たことないか?元気と笑顔が取り柄の変なやつだ。」

「それってエクステラって名前の人ですか?」

「そうだが、知り合いか?」

「はい、とりあえず施設まで来てください。」

僕は彼女を施設まで案内した。

施設に着いて、彼女に今起こっていることを話した。

「ほぅ、虚無を取り込む気なのかもな。安心しろ、確実に失敗する。」

椅子が変形し彼女の手には飲み物が入ったコップが出てきた。

「私はミリ・エクスバース。感情のことは理解してるみたいだな。ちなみに一応言っておくが私は『楽』の感情だ。それは楽を求めながら楽しさを追求する。言わば、好奇心の塊、研究者のようなものだ。それはどこから来るかと言うとだなぁ…っといけないな、話しすぎるのは私の悪い癖だ。」

そう言うとスゾゾっとストローで飲み物を飲む。

「んっ?これか?私が飲んでいるのはミルクシェイクだ。冷たいものと甘いものは頭の回転率を高くする。リラックス効果のようなものだ。」

彼女は色んな話を延々としている。ふと彼女は何かを思い出したように言った。

「おっと、エクステラの研究もしなければな。」

彼女が空に触れると光ってそこには様々なものが記録されていた。

「これは私の能力の一部。ま、あの本の虫と違って改変は出来ないが瞬時に詳細を割り出せるからな、余程効率的だ。」

そこにいた全員は彼女に圧倒された。もはや何も口出しなんてできない。

「ほう、そうか。エクステラが変わったのは世界のせいだけではなかったか。」

そう言うと彼女はイルマの顔を覗き込み言った。

「確かにな。私はもう会っているからなんとも思わないが、当時のエクステラにはそう見えたのか。面白いじゃないか。」

そこにエクステラが現れたという情報が入り全員が向かった。


エクステラはその頃謎の物体の中にいた。ぷにぷにというかぶにぶにしてて気持ち悪い。

(ハイレナイ…チカラホシイ…)

「私の中に入りたいのかな?気持ち悪い、嫌だ。…ん?待って…いいこと思いついちゃった。」



イルマ達が向かうと確かにいたが様子がおかしい。

「ハハ、入ってるな、完全に。」

「え?どうにかならないんですか?」

「大丈夫だ。」

「おい、私の助手の体を乗っ取ってる悪趣味なやつ。残念だったな。」

「イッタイナンノハナシダ…ウッ!キエルキエルゼンブ…」

「ま、そうだろうな。私達の苦しみなんかに耐えられたもんなら尊敬するぞ。」

苦しみ出した表情が徐々に消えていきエクステラの体だけが残った。

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