第1章 再開と別れ
「ん〜、あれ?ここは…」
どこかで見たような景色。ここは…そうだ、泉の前だ。
「じゃあ、この近くには皆の街が…」
「大丈夫ですか?勇者…」
「あれ?妖精さん。また来たよ。」
「はい、とある方から事前通信がありましてお迎えに参りました。」
「皆はいるの?」
「はい、あなたの街で…。しかし、こちらの世界では6年ほど経ちました。」
「もうそんなに…」
「ですが、私が知らせると皆さんお待ちになるみたいですよ。行ってみてはいかがですか。」
「うん、ありがとう。」
「いえ、私はある方をお待ちしますのでここにいます。」
私は街へ向かった。
「あれ?皆……わっ!」
辿り着くと冷たい風が吹き、誰かが抱きついてきた。
「わ、私ずっと待ってたんだよ。」
彼女は随分成長してるけど、間違いない。レイちゃんだ。
「ごめんね、待たせちゃって。」
「待ったなんてもんじゃありませんよ。本当に心配していたこっちの身にもなってください。」
こちらはあまり外見に変化がないけど、ラウラちゃんだ。
「2人ともありがとう。ところで他の皆は?」
「魔女のお2人は多忙で行けないそうです。元魔王のマールさんは知りません。イルマはそろそろ…」
「テラさん…ですよね。」
「イル君…会いたかった。」
イル君も成長してお兄ちゃんみたいにかっこよくて…。
「2人に比べて成長してないなんて言わないでよ!」
ラウラちゃんは頬を膨らませて目を逸らした。
「ふふふ、あはははは」
私は向こうの世界で我慢していた気持ちがポンって爆発して笑いが止まらなかった。ああ、なんて幸せなんだろう。
イル君は街の管理をしているからとても忙しい。会えるのは限りある時間のみ。たまには2人だけで話したい。だからその時間を作った。
「こんな時にごめんね。イル君と2人だけで話したいなって。」
「僕もですよ、テラさん。」
「そのね…また皆で冒険したいなって…」
「冒険と言うよりもテラさんを守らなければならない。テラさんが来てから各地で異変が起きてる。」
「でも、私が来て迷惑なんてこと…うん、大丈夫、考えすぎだよね。」
その時、変な音が聞こえた。私はイル君を守るために前へ出た。
「危ない!」
突然飛び出してきた変なぷよぷよした触手に捕まってしまった私はその中へ飲み込まれいった。
(最後にイル君を守れて良かった…)
その満足感にだけ浸っていって意識が消えていった。
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