民意は縮む。されど気付かず。

結城彼方

民意は縮む。されど気付かず。

 大手酒造会社が新商品を発売した。アルコール度数が10%の缶チューハイだ。非常に飲みやすく安価であるため、簡単に酔うことができると若年層から高齢者層まで爆発的に売れた。

 だが、次第にこの商品の依存性や脳萎縮などの健康問題が注目され始めた。国に対して規制を求める声も上がっていたが、国は増税だけを行い、問題点に関しては黙殺した。

 ある記者が匿名を条件に、この件に関して与党の国会議員に質問を行った。


「なぜ商品に問題があるにも関わらず、何の規制も行わないのですか?」


議員はその問いに対してニヤリと不気味な笑みを浮かべて答えた。


「脳が縮んで国民が馬鹿になれば、民意をコントロールしやすくなるからね。だから課税はしても規制はしないんだよ。」


そう言って、議員は高価な酒を飲みほした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

民意は縮む。されど気付かず。 結城彼方 @yukikanata001

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ