新メンバー
紅白戦が終わり
陽菜美は香菜子に野球をやっていて楽しい? 香菜子は楽しいよ、私の入ってるリトルは人が多くないからいきなりピッチャーするようにって監督言われた時はビックリしたけど三振取った時は嬉しいよ。
陽菜美は私でも出来るかな……と不安な声で問いかけた。香菜子は陽菜美ちゃん野球に興味あるの?あるなら私が教えてあげるよ。
私もそろそろキャッチボールやバッティング練習しないと感覚が鈍るから一緒に練習しよう、陽菜美ちゃんがやりたいって言うならいつでもウェルカムだよ。
ひとまず香菜子は陽菜美をバッティングセンターに連れて行き、まず私がやるから見ててね。香菜子は久しぶりだったが鋭い打球を飛ばしていて陽菜美は感動していた。
1ゲームを終わった後、香菜子は陽菜美ちゃんってに右利きか左利きか聞いた。陽菜美は右利きだよと言うと香菜子は身振り手振り教えてから陽菜美にそれで1度打ってみるように言った。
1ゲームが終わり陽菜美は1球も当たらなかった。香菜子はタイミングは悪くなかったよ、今度はグリップをもっと上の方を持ってみてと1番上のところを持たせた。陽菜美にもう1回やってみるように言った。
香菜子は陽菜美の打球を見て、手打ちなのにしっかりミートしていて運動能力の高さに驚いた。陽菜美は打ち終わり香菜子ちゃんが教えてくれたおかげで打てたよありがとう。
香菜子は陽菜美ちゃんって器用って言われるか聞くと陽菜美は自分では思わないけどよく器用だねって言われるよ。それを聞いた香菜子は得意なバントを陽菜美に伝授しようとした。
香菜子は1ゲーム全球バントをすると周りから拍手喝采で陽菜美に来たボールを足を使ってやるイメージだよと伝えた。そして陽菜美は1ゲーム終えて半分バントを決めた。
香菜子は陽菜美ちゃん器用で運動能力高いし私の入ったリトル入らない?
陽菜美はえっ、入れるの? 香菜子は入団テストがあるからもっと2人で練習して一緒にプレーしようと言った。
この日から香菜子と陽菜美は水泳をする傍らリトルの入団テストに向けて練習していた。
病院から香菜子の家に電話がかかってきて明日1度検査させて欲しいから病院に来るように言われた。
香菜子は結菜と共に病院に行って検査をした。検査の結果明日から野球をしても大丈夫ですケガには気をつけてください。
結菜は監督に電話して明日から練習に戻りますと言うと香菜子が電話代わって欲しいと言うので代わります。監督久しぶりです、明日練習前に少し時間欲しいです。リトルの入団テストを受けたいっていう子がいるので。監督はそうか、念の為ユニフォーム持って行くよ。何か必要なものあればスポーツショップで買っていきなと言って電話を切った。
香菜子は陽菜美に電話で駅で待ち合わせスポーツショップに向かった。
監督は桃井がさっき言ってた入団テスト受ける子だね。ゆっくり見て行ってねと陽菜美に言った。
監督は香菜子にどういう経緯なのか聞いたらこの前の紅白戦観て野球やりたいって言ってたのでじゃあ受けてみたらって言いました。楽しみにしててください。
陽菜美はグローブとスパイクを選び購入しようとしたらいいよ代わりに桃井に払ってもらうから。
どうして私が払わないといけないんですか。ウソに決まってるだろ、俺が小さい時に使ってたやつでよければ。香菜子と陽菜美はありがとうございますと家に帰って行った。
入団テスト
次の日香菜子と陽菜美はグラウンドに行った。香菜子は陽菜美に思いっきりやれば大丈夫だよと伝えた。
監督は香菜子にマウンド行くよう伝え、陽菜美が右バッターボックスにだった。香菜子は全力で投げて陽菜美もフルスイングした。
監督は陽菜美に合格を伝え、とりあえず今日は一緒に練習しよう。どうするかは親御さんとまた話し合って欲しい。
そしてメンバーを集めて陽菜美に挨拶をするようにと挨拶をした。
長谷川陽菜美です、香菜子ちゃんに紅白戦あると聞いて実際みなさんのプレーを観て感動し私も野球がしたいと思いました。宜しくお願いしますと挨拶をした。
陽菜美は上田とキャッチボールをしていて上田は驚いた。長谷川さん野球を始めてどれくらいなの? 陽菜美はまだ1ヶ月ですと答えた。上田が驚いたのはキャッチボールでコントロールよく投げていた。その後バント練習で陽菜美は正確にバントを決め、トスバッティングでもピッチャーに確実に返していた。
監督は香菜子を呼んだ。長谷川さん野球初心者だよね?なんでバントあんなに上手いの?
入団テストに向けて2人で練習して来ました。いくら入りたいと言ってもある程度出来ないとって思ってとこれまでの経緯を説明した。
監督はそうか、桃井ありがとうな戦力に厚みが増して新たな作戦が出来そうだよ。そして練習が終わり監督は次の日曜日に紅白戦をすると明言した。
陽菜美は家に帰って家族にリトルリーグ入りたいと言うと女の子に硬式野球って危ない。軟式野球でもいいんじゃないか。陽菜美は私が入ろうとしてるリトルには女の子がいて主力として活躍してるよ。
監督からも是非来て欲しいって言われたよ。父は監督がそこまで言うならやってみるか、ケガだけには気をつけるように。
パパありがとう、今度の日曜日に紅白戦やるから是非観に来て欲しいとお願いした。
そして日曜日、紅白戦が行われ紅組香菜子、広翔、白組上田、陽菜美とチームにそれぞれ分かれた。
香菜子も久しぶりのマウンドでのびのび投げていた。陽菜美は香菜子のボールをしっかり転がし送りバントを決め、※1エンドランを決めたりと活躍を見せた。
※1エンドラン(ピッチャーが投げたと同時にランナーが走り、バッターが打つ。)
父は陽菜美のいきいきとした姿を見て監督に入団することを伝え晴れて正式に北岡リトルに入団することになった。
練習試合
紅白戦を終えて監督は他のチームと練習試合でどうしても試したいことがあった。それは陽菜美の起用について考えており、西葛西リトル戦監督は1番センター桃井、2番レフト長谷川、3番サード滝沢、9番ピッチャー上田と発表した。
1回表1番香菜子がフォアボールで塁に出ると2盗を決めて、2番陽菜美が送りバントを決める。3番広翔が犠牲フライを打ち先制点を取った。
2巡目1番香菜子に周わってセンター前にヒットを放つ。2番陽菜美はヒットエンドランで0アウト1、3塁で3番広翔がホームランを放つ。北岡リトルは4対0で勝利し陽菜美はバントやエンドランを確実に決めることが分かり、大会で起用しようと考えていた。
12月になり、地域の公平を保つため3月まで対外試合が出来なくなった。
香菜子、広翔、陽菜美はリトルの練習に参加しつつも水泳の大会に出場していた。気づいたらリトルでも水泳の大会でも3人でいることが多くなった。
帰省
年末年始リトルも水泳の試合もないため、香菜子は結菜、旦那と共に埼玉の恵の家に向かった。結菜の家から恵の家まで車で1時間とそう遠くはないが香菜子が水泳とリトルとの両立で恵の家に行くのは3年ぶりだった。
結菜はおばあちゃんに電話したら久しぶりに香菜子に会えるの楽しみだからご馳走作って待ってるって言ってたよ。私も数年ぶりにおばあちゃんに会えるの嬉しいよ。
しばらくして車は恵の家に着いた。香菜子はインターホンを押して恵は結菜たちを家に上げた。
恵は香菜子ちゃん久しぶり、ママから水泳と野球に頑張ってるって聞いたよ。スゴいね。香菜子はリトル、水泳両方で全国大会出たらおばあちゃんに観に来てもらえるように私頑張るねと力強く語った。恵は楽しみにしてるねと言うと再びインターホンが鳴った。
恵は出ると莉子で恵美と旦那、広翔がやって来た。莉子どうしたの?
恵美から広翔君が来るってこと聞いたら香菜子ちゃんもお姉ちゃんの家に行くって聞いたから顔を見ようと思っていてさ。
恵は立ち話もなんだからと莉子、恵美、広翔を家に上げた。恵は台所に行こうとすると莉子も台所に行き手伝った。
結菜、父、恵美、父、香菜子、広翔はリビングでテレビを観ていて、こうやってのんびりするのも久しぶりだねと話していた。
そして程なく恵と莉子はリビングにすき焼きとオードブルをテーブルに並べた。
恵はこうやってみんなで集まるのも何年ぶりかね。さっき香菜子ちゃんと話してたんだけど香菜子ちゃんも広翔君も野球に水泳に頑張ってるみたいだね。
広翔はこの前の大会なんだけど……と重い口を開いた。あの試合僕がもっと打っていれば全国大会に行けたのに……。先発で投げていた香菜子に申し訳ない気持ちだったんです。
今度は香菜子があの試合最後に暴投を投げた私が原因だよ。広翔は悪くないと話し合っていた。
その話を聞いて莉子は私は野球のこと詳しくないからとやかく言えないけど香菜子ちゃんも広翔君も課題が見つかった訳でしょ。それなら少しでもそのミスを減らせたら全国大会に行ける可能性が高くなるねと2人に言った。
香菜子と広翔はおばあちゃんの言う通りだね。家に帰ったらまた一緒に練習しようと互いに話していた。
特訓
香菜子と広翔は東京に戻った。近くの公園で素振り、キャッチボール、バッティングセンターに行きそれぞれレベルアップを図っていた。広翔は香菜子にピッチング練習するかと聞いた。
香菜子はそうだね、今度いつ投げろって言われるか分からないしいける用意だけはしておかないとね。香菜子は広翔に夕暮れになるまで練習し、広翔はもう1つ何か変化球投げれるようになった方がいいと提案した。
香菜子はじゃあ色々投げてみるから付き合って欲しいと言うと暗くなるし危ないから明日また公園に来ようと誘った。
香菜子は本屋に行き、野球の教材となる本を探していた。本を手にして見てみると「ピッチャーの変化球特集」どんな内容か見てみると変化球の握りが詳しく書いてあってDVDも付いていた。そして迷わずレジに行き購入した。
その後香菜子は広翔に電話して今から公園に来るように伝えた。10分後、広翔は公園にやって来た。広翔はいきなり呼び出してどうしたのかと尋ねた。
香菜子は広翔に本屋でピッチャーの変化球特集っていう本があったから買ってきた。だから広翔と早速練習したくて呼んだって感じ。
広翔はじゃあ少しキャッチボールをやってからやるかと言った。本をもとにスライダー、シュート、シンカー、フォーク等色々試してみたが全然しっくり来なく、広翔の手や足に当たってばかりだった。それを見た香菜子は広翔ゴメン、ケガしたらいけないからこの辺にしようかと言った。
その言葉を聞いた広翔は香菜子に誘ったのは香菜子だろう。変化球投げれるようになるまで付き合うよ。今日がダメなら明日、明日がダメなら明後日があるだろう。
香菜子は広翔の言葉を聞いて思わず涙を流した。もう、香菜子なんで泣くの?俺が悪者みたいになるからさ。
私、広翔の優しさに泣いてるの、ありがとう。私のため、広翔のためにも絶対新しい変化球覚えるね。最後まで付き合ってね。
広翔はもちろん、日没まで時間ないから早くやるよ。そして日没まで残り10分、見た事のないボールの軌道で広翔のグローブに収まった。
カーブの軌道でチェンジアップのように落ちて取るのも難しかった。広翔は香菜子、今の球もう1球投げてくれと頼んだ。暗いし後1球ね、香菜子はナゾの変化球を投げてダウンをした。
香菜子は1度結菜に電話をかけ、広翔を家に連れて来ていいか尋ねると結菜はいいよ、広翔君のお母さんには私から伝えておくからねと電話を切った。
香菜子は広翔にママの許可出たから今から家に来て。変化球について話があるの。広翔は分かった、それならお願いします。
香菜子はさっきの変化球だけど何か名前を付けようと思うけど……。広翔は香菜子にどんな名前がいいの?
香菜子は「かなこボール1号」とかはどう?
広翔はいや、それだと何かのゲームで使われてそうな感じだから他のにした方がいいよ。
香菜子はじゃあ「かなこボール」これならよくない?
歴史上の人物じゃないんだからさ〜。
そこまで言うなら「かなちゃんボールニコニコ」っていうのはどう?
広翔は香菜子に自分のことかなちゃんって言うんだ〜。
香菜子は広翔にもうさっきからなんなのよ!そんなに言うのなら広翔も何か案を出してよ。広翔はゴメンゴメン、でも俺は「かなちゃんボールニコニコ」気にいったよ。よしそれでいこう。
晩御飯を食べながら終始その話をしていた。
そして結菜の携帯に電話がかかってきた。電話は恵美からで広翔がお邪魔してない? 居るのなら帰るように言ってもらっていい?
結菜は夜も遅いし私の家に泊まっていってもらうよ。今2人で色々話してるみたいだからさ〜。
それを聞いた恵美はいつも結菜ちゃんや香菜子ちゃんに迷惑かけてゴメンね、じゃあ香菜子ちゃんに宜しく伝えておいてと言って電話を切った。
広翔は時計を見て僕はそろそろ帰りますねと言うとさっきお母さんに広翔君泊まって行くって伝えてあるからゆっくりしていってね。広翔はいつもご迷惑ばかりかけてすみませんと頭を下げた。
結菜はいいよ、そんなこと気にしなくて。そんなことより布団敷いておくからお風呂入ってきて。
香菜子は広翔一緒にお風呂入ろう。私疲れたから早く寝たいからさ。広翔はさすがにこの年で一緒に入るのはまずいでしょ?
香菜子は別に私はいいよ。はとこなんだし、昔はよく入ってたでしょ。近所に住んでるけどね。広翔はだけど今と昔は違うでしょ。とにかく香菜子先にお風呂入ってて。
顔を赤くした広翔は結菜に香菜子さんはいいって言ってましたがお風呂上がってくるの待った方がいいですよね?
結菜は香菜子がいいって言ってるからいいんじゃない?入るかどうかは広翔君に任せるよ。
そして広翔はおそるおそるお風呂に入った。広翔、ママと何か話してたみたいだけど何を話してたの?
広翔は香菜子が出てから入った方がいいかどうかって話をしてたよ。
私、さっき一緒に入ろうって言ったのにわざわざママの許可取る必要ある?
広翔はそりゃ女の子がお風呂入ってるところに行くのは抵抗あるし、いくら香菜子がいいって言ってもお母さんに怒られるかなって思ってさ。
香菜子はそれでママはなんて言ってた?
香菜子がいいならいいよ、俺に任せるよって。
香菜子は広翔にお風呂上がったら一緒に寝よう。広翔は何言ってるの?一緒に寝るってマジで言っているの?
どうしたのそんなに動揺して? 広翔は私と一緒に寝たくないの?ひどい……。
広翔はいや、そういうことじゃなくて。なんというか。とりあえず俺は畳1枚分離して寝るからな。香菜子は何考えてるの?この変態が! まぁ広翔も男の子なんだね。
広翔はおい、
それを聞いた香菜子は先に仕掛けたのは広翔の方でしょ!お互い様だよ。
2人の喧嘩の仲裁に結菜が入り、喧嘩する程仲がいいって言うけど入りすぎたらのぼせるから気をつけないとダメだよ。
香菜子と広翔は1つのアイスを半分ずつ食べて寝床についた。
次の日、広翔は朝起きて結菜に挨拶をした。
広翔は結菜にありがとうございますと頭を下げて家を出ようとした。
結菜はせっかくなら朝御飯食べていきな。香菜子はまだ寝ているの?
広翔君、ちょっと香菜子起こして来てもらってもいい?そして広翔は香菜子を起こしに行った。
香菜子〜もう朝の9時だぞ早く起きろ。
香菜子は小声で「広翔もう1球かなちゃんボールニコニコ投げるね」
香菜子は目を覚めた。広翔おはよう。広翔起きるの早いね。
お母さんから香菜子を起こすようにって言われたから起こしに来たよ。それでもそんなに気に入ったんだな、「かなちゃんボールニコニコ」さっき寝言でも言ってたぞ。
香菜子はえ、そうなの?めっちゃ恥ずかしい。広翔朝ごはんは食べたの?
もう食べたよ。
お母さんがリビングに朝ごはんあるから食べるようにって、俺は家に帰るわ。
また練習に付き合ってねと広翔に伝えた。
春到来
長い冬を越えて香菜子、広翔、陽菜美は5年生になった。
香菜子と広翔は学校に向かっていると、どこかで見かけたことの女の子を見かけた。その女の子は後ろを振り向くとあれ、香菜子ちゃんに広翔君おはようと声をかけた。
香菜子はランドセルを背負って学校に行くってことは同じ学校? 陽菜美ちゃんってどこに住んでいるの?
陽菜美はあの歩道橋の向こうにコンビニ見えるでしょ?あの近くのアパートだよ。広翔は3人とも意外と近所に住んでたんだと笑いながら3人で登校した。
始業式が終わり、3人は今年も水泳にリトルに頑張って両方で全国大会行きたいねと話あっていた。
陽菜美は今から3人でバッティングセンター行かない? 香菜子と広翔はいいよ行こう。学校が終わりランドセルを背負ったままバッティングセンターに向かった。
香菜子は切り込み隊長として半分ミートを心がけ、そして残りの半分をバンドに費やした。陽菜美は終始バントの精度を高めようと
初練習
佐藤、齋藤、谷川の3人はシニアに進んだ。
キャッチャーの齋藤が抜け、代わりに広翔がキャッチャーを務めるようになった。
監督はミーティングでピッチャー上田と香菜子を柱で行こうと考えていたがもう1人ピッチャーがいたらやりくりしやすいと話していた。香菜子は監督に陽菜美ちゃん器用なのでやってみたらどうですかと提案した。
それを聞いた監督はウォーミングアップを済ませたら桃井は長谷川をブルペンに連れて行って教えて欲しいと伝えた。
上田、広翔たちはノックやフリーバッティングをしている傍ら香菜子と陽菜美はブルペンで投げ込みをしていた。
香菜子は短い距離でキャッチボールをして陽菜美に投げ方や握り等を説明をしてホームベースに行って座った。陽菜美にまずはストレートを投げるように言った。「ビシッ」香菜子はグラブを外し思わず痛いと悲鳴を上げた。
陽菜美は香菜子ちゃん大丈夫?ゴメンね。
思わず香菜子は陽菜美に今のボール力あってよかったよ。投げ込みすれば私よりいいピッチャーになるよ。陽菜美は香菜子ちゃんありがとうと微笑んだ。
監督はブルペンに※2ブルペン(ピッチャーの投球練習場)に来て香菜子に話しかけた。桃井、長谷川はピッチャーの適正ありそう?
私、ボールを受けたんですがすごく重くて投げ込みをすれば私よりもいいピッチャーになると思います。監督、陽菜美ちゃんのボールを受けてみてください。私が打席に立つので。
そして陽菜美はマウンドに行き、香菜子は打席に立った。陽菜美はストレートを投げ、香菜子は監督にどうですかと聞いた。
監督は球速以上に速く感じるな。監督は陽菜美のもとに駆け寄り、縫目をこうかけてもう1球投げて欲しいと伝え、再びホームベースに戻った。陽菜美がもう1球投げると打席に立つ香菜子にこれから牽制やバント処理等を色々と長谷川に教えて欲しい。
香菜子は任せておいてください、陽菜美ちゃんが変化球投げれるようになれば私が投げなくてもよくなるので。
監督はメンバー少ないんだから桃井には投げてもらわないと困ると言うと香菜子はやっぱりそうですよねと笑っていた。
春の大会
春の大会、エース上田を筆頭に23区大会、東京都大会を上田、香菜子、陽菜美をローテーションで回して3人とも無失点で東京都大会を制した。
秋に行われる全国大会に繋がる大会では春に続き北岡リトルが上田、香菜子、陽菜美の3本柱で全国大会出場が有力視されていた。
大会1週間前、監督は背番号発表をした。1番上田、2番滝沢、8番桃井、11番長谷川と続々と背番号を渡していった。
そしてピッチャーの上田、香菜子、陽菜美は練習の大半をピッチングに時間を割いていた。練習後、香菜子は陽菜美と共に投げ込みをしたいと広翔に言った。
広翔は2人とも今日は練習で投げ込んでるからダメだ、するなら明日以降にしようと言った。そして次の日から大会まで香菜子と陽菜美は広翔を相手に投げ込みをして大会に備えていた。
まさかの……
1回戦西葛西リトル戦、監督は1番センター桃井、2番サード長谷川、3番キャッチャー滝沢、そして先発は上田と発表した。
1回表、1番香菜子はセーフティーバントで出塁する。2番陽菜美の初球、香菜子は盗塁を決める。1ボールの2球目送りバントで1アウトランナー3塁で3番広翔に打席が回り、犠牲フライで1点を先制する。
先発上田は5回までランナーを出すものの要所を締めて無失点で最終回を迎える。危なげなく2アウトまでいき、後アウト1人で2回戦進出だが上田はヒットを許してしまう。
次のバッターの初球、甘く入ったストレートはセンターの香菜子の頭を越え、スタンドに入った。上田は次のバッターを抑え、6回裏を迎える。打者2人が凡退で9番上田が打席に立つ。上田は香菜子に繋げばサヨナラのチャンスがあると思っていたが空振り三振で2対1で北岡リトルは惜敗した。
得点は広翔の犠牲フライの1点で香菜子、陽菜美共に1安打ずつで本調子とは言えなかった。
春の大会に向けて
上田は香菜子と陽菜美を呼び出し、俺のせいで2人をマウンドに上げることが出来なくて申し訳ないと頭を下げた。
香菜子と陽菜美は上田君だけのせいではないよ。打てなかった私たちにも原因があるんだからさ、そんなに気にしないで。
上田はそれなら2人のために何かしたいって思うんだけど協力出来ることないかと尋ねた。
陽菜美は何か変化球覚えたいんだけど教えてくれない? 滝沢君は香菜子ちゃんのボール受けないといけないし、私と香菜子ちゃんのボールを受けるってなったら滝沢君大変だからさ。上田はボールを受けることを快諾した。その日から上田を含めた4人は公園でピッチング練習をすることになった。
香菜子はいつも持ち歩いている変化球特集の本を上田に渡した。陽菜美に本を見てまずカーブの握りを教えて投げるように言った。
器用な陽菜美は数球投げただけでカーブを覚えた。それを見ていた香菜子は広翔に私も投げるから座るように言った。
香菜子は上田の前で魔球「かなちゃんボールニコニコ」を投げた。上田は思わずなんだ今の軌道は。初めて見た。桃井すごいなぁ。
広翔は上田、あのボールの名前「かなちゃんボールニコニコ」って言うんだけどアイツ自分のことをかなちゃんって呼ぶんだぜ。香菜子は気に入ったって言ったの誰よと怒った。上田は広翔にホント桃井と仲がいいな、桃井のこと好きなんじゃないの? 広翔は俺らはとこだからふざけあったり出来るんだよ。
これからは北岡リトルは右腕長谷川、左腕桃井のダブルエースだね。上田はみんなが呼びやすい愛称とか決めた方がいいんじゃないかと提案した。広翔は「ひなかな」とかどう? 香菜子はなにそのテニスのペアの感じと言ったが、陽菜美はそれいいねと言っていた。
最終学年
長い冬を越えて香菜子、広翔、陽菜美は6年生となり6年生となった。
3人はリトルの春の大会、秋の全国大会に照準を合わせるために水泳は4月に行われる大会で出場するのは最後にしようと決めていた。そして香菜子、広翔は個人自由形を初め、出場した種目で優勝して前人未到の大会6連覇を果たした。
陽菜美は健闘したものの香菜子に勝てず、最後の大会も香菜子ちゃんに勝てなかったと話していた。
2枚看板
最終学年となり、リトルではキャプテンを決めようとミーティングをしていた。監督はメンバーにアンケートを取り、票数が1番多かったキャプテンは香菜子、副キャプテン広翔でスタートをきることになった。
そして春の大会に向けて背番号発表がされた。1番長谷川、2番滝沢、10番桃井とそれぞれ発表されてまずは春連覇に向けてキャプテンの香菜子は円陣を組み、意気込みを語った。
そして春の大会香菜子、陽菜美は無失点で23区大会、東京都大会を制した。
香菜子、陽菜美、広翔の3人はチームの柱として活躍し香菜子はMVP、陽菜美と広翔は殊勲賞に選出された。
3人は自身の成績に満足すると共に秋も優勝して春秋連覇で全国に行こうと誓った。
秋の大会
残暑が過ぎて香菜子、陽菜美、広翔は最後の大会に向けてリトルの練習だけでなくバッティングセンターに行ったりピッチング練習をしていた。
開幕1週間前、背番号は春と同じで1番長谷川、2番滝沢、10番桃井と決まり春と同じくピッチャーは「ひなかなコンビ」で監督は2人にローテーションも継投もあるからと伝えた。
陽菜美は香菜子に胴上げ投手はどっちだろうね〜。香菜子はタイミング次第だけど最後抑えて胴上げ投手なったらどんな気持ちなんだろうねと話をしていた。
秋の大会は開幕し、23区大会そして東京都大会を順当に勝ち上がり決勝のマウンドには陽菜美が立っていた。陽菜美は三振に取り北岡リトルは全国大会進出を決めた。
香菜子は陽菜美におめでとう、これで全国大会行けるねと話していた。香菜子と広翔は家に帰り全国大会出場を伝え、そして結菜と恵美は恵、莉子共に電話をして全国大会進出を報告した。
全国大会は埼玉で行われ北岡リトルは決勝に進出を決めた。決勝の先発は陽菜美で5回まで抑えていたが監督に爪が割れたから香菜子ちゃんに替えてほしいです。
監督は分かった、ブルペンで桃井と肩を作るように伝えて陽菜美は香菜子に事情を説明し香菜子は肩を作り始めた。
6回表香菜子がマウンドに立った。内野ゴロ2つで2アウト、最後のバッターを三振に打ち取り香菜子と広翔は抱き合った。香菜子、広翔、陽菜美は大車輪の活躍を見せた。
3人のリトルでの通算成績
香菜子
打者として42打数 35安打 47盗塁 ※3打率0.833
投手として83回投被安打34 四死球13 奪三振83 失点5 ※4防御率1.53
陽菜美
打者として22打数12安打 27犠打 18盗塁 打率0.545
投手として76回被安打21 四死球8 奪三振51 失点4 防御率2.11
広翔
76打数 48安打 8本塁打 30打点 打率0.631
※3打率(安打÷打席数)
※4防御率(自責点×9÷投球回数)
3人は改めて自分たちの成績を振り返ると陽菜美は香菜子ちゃんすごいね、やっぱりそのままシニアに行くの?
香菜子は今すぐ決めれないけど中学になってもまた3人で野球がしたいなと話していた。
香菜子は家に帰ると知らない人たちがソファーに座っていた。ママこの人たちは?
結菜はシニアのスカウトの人たちで香菜子に来て欲しいってわざわざ家まで来られたから話を聞くように伝えた。香菜子は突然の訪問者に対して話を聞いてまだどうするか決めていないのでどこかのチームに入るなら母を通して電話しますと言った。シニアのスカウトは帰って吉報を待っていた。
結菜は香菜子にどうするの?
香菜子はまだ決めてないから入るなら母を通して電話しますって伝えたと言うと結菜はそっか、じゃあ分かったらまたママに教えてね。
香菜子は広翔と陽菜美を公園に呼び出してシニアの話をし、まだどうするか決めてないと話していた。広翔と陽菜美ちゃんはどうするの? 俺たちは中学で軟式野球しようと思ってるよ。香菜子はなら今から練習見に行こうよ、中学校の。広翔と陽菜美は賛同した。
3人は自転車で近くの中学校に行って練習の様子を見て私も広翔と陽菜美ちゃんと一緒に野球がしたい、また3人でやろうと言った。広翔と陽菜美は嬉しそうにまたよろしくね。
家に帰って香菜子は結菜に中学で軟式野球やると伝えると分かった、中学でも頑張ってね。
香菜子、広翔、陽菜美の3人は地元の中学校に進学し野球に入部することになる。
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